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NEJM誌から
癌の告知後1週間、心血管死亡リスクが5.6倍
自殺リスクは12.6倍

 告知を受けた患者は、告知直後の自殺心血管死亡のリスクが顕著に上昇することが、スウェーデンKarolinska研究所のFang Fang氏らが行ったヒストリカルコホート研究で明らかになった。リスク上昇は、特に予後不良とみなされる癌の診断を受けた患者で大きかった。論文は、NEJM誌2012年4月5日号に掲載された。

 癌の告知は、患者にとって大きな衝撃になり得る。そのため、告知直後は病気や治療の影響とは別の健康被害が生じる可能性が考えられる。

 著者らは、1990年のスウェーデン人口住宅調査のデータの中から、スウェーデン生まれで1991年に30歳以上だった成人607万3240人を選び、2006年12月31日まで追跡した。追跡開始は1991年1月1日とし、同年中に30歳の誕生日を迎えた人々については誕生日からとした。追跡期間中の癌罹患と自殺、心血管死亡の有無は、同国の癌登録、死因登録などを照会して確認し、回帰モデルを用いて、癌告知と自殺、心血管死亡の関係を調べた。

 スウェーデンでは1958年に法律で癌の告知が義務づけられており、癌登録のカバー率は100%となっている。

 追跡期間中に初めて癌と診断され、告知を受けたのは53万4154人。このうち頻度が高かったのは、前立腺癌9万5789人、乳癌7万4977人、大腸癌6万2719人、皮膚癌4万7169人、リンパ腫または血液腫瘍3万6648人、肺癌3万4743人、中枢神経系の癌1万3447人だった。これらに加え、死亡リスクが高い癌として、食道癌/肝臓癌/膵臓癌を合わせた患者群(2万6335人)についても分析した。

 対照は、追跡期間中に癌に罹患しなかった人々と、癌告知を受けた人々の告知前の期間を合わせた、癌罹患のない集団(癌罹患なし群)とした。

 追跡期間中の自殺は、癌罹患なし群では1万3284人で、発生率は1000人-年当たり0.18だった。一方、癌の診断を受けた人々では786人で、発生率は1000人-年当たり0.36だった。うち29人が告知後1週間以内に自殺していた。癌罹患なし群に比べ、癌と診断された患者の告知後1週間の自殺の相対リスクは12.6(95%信頼区間8.6-17.8)、発生率は1000人-年当たり2.50となった。

 告知から12週間の癌患者の自殺は110人で、相対リスクは4.8(4.0-5.8)、発生率は1000人-年当たり0.95だった。

 12週間の自殺リスクが最も高かったのは、食道癌/肝臓癌/膵臓癌と診断された患者群で、相対リスクは16.0(9.2-25.5)、次が肺癌で12.3(7.4-18.9)だった。一方、皮膚癌(1.4、0.3-3.6)、リンパ腫または血液癌(2.5、0.8-5.9)の自殺リスク上昇は有意ではなかった。

 告知後13週間から52週間までは、癌患者の自殺の相対リスクは2.5(2.1-2.9)に下がっていたが、53週以降(平均追跡期間は4.07年、中央値は2.65年)も、相対リスクは1.8(1.6-2.0)となり、有意な値が持続した。

 告知から52週間の癌患者の自殺は260人、相対リスクは3.1(2.7-3.5)、発生率は1000人-年当たり0.60になった。全ての人口統計学的要因で調整して、この集団の52週間の自殺者の数を予測したところ、87人と推定された。したがって、残る173人は癌告知に関連する自殺とみなされた。

 告知後52週間の自殺リスク上昇は、年齢や性別、診断された年度などの影響を受けず、ほぼ一定だった。

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