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NEJM誌から
アマンタジンは外傷性脳損傷後の機能回復を早める
184人を対象に行われた無作為化試験の結果

 外傷性脳損傷で外傷から4~16週が経過し、入院リハビリテーションを受けている患者にアマンタジンを4週間投与すると、機能障害からの回復が早まることが、二重盲検無作為化試験で明らかになった。米JFK Johnson Rehabilitation InstituteのJoseph T. Giacino氏らが、NEJM誌2012年3月1日号に報告した。

 重症の外傷性脳損傷で、当初4週間以上植物状態が持続した患者の約半数は、1年後の時点で意識を回復している可能性がある。最小意識状態の患者の転帰はさらに良好だが、約50%は1年後も深刻な障害を抱えている。こうした患者の機能回復を早めることが示された介入法は現在のところない。

 米国では、外傷性脳損傷後に意識障害が続き、神経リハビリテーションを受けている患者に、アマンタジンが広く処方されている。だが、その作用機序は明らかではない。これまでに行われた2件の無作為化試験は、アマンタジンが外傷性意識障害患者の機能回復を促進する可能性を示したが、それらの研究の質は低かった。

 そこで著者らは、アマンタジンの回復促進効果を評価するために多施設前向き試験を実施した。3カ国の11施設において、16~65歳で、非穿通性の外傷性脳損傷から4~16週経過しており、植物状態または最小意識状態(障害スコア;Disability Rating Scale=DRSが11ポイント超)にあって、入院リハビリテーションを受けている患者を登録した。

 条件を満たした184人を無作為にアマンタジン(87人)または偽薬(97人)に割り付け、4週間投与した。アマンタジン群には、100mgを1日2回、2週間投与し、DRSスコアが2ポイント以上改善しない患者には、3週目に150mg1日2回、4週目には200mg1日2回に増量した。4週が経過した時点で2~3日かけて用量を減らし、投与を中止してさらに2週間追跡した。

 治療期間中は向精神薬の投与は最小限に抑えた。

 機能回復の程度はDRSスコア(0~29ポイントで高スコアほど障害が強い)を用いて評価した。主要転帰評価指標はベースラインから4週後までの変化に設定した。

 ベースラインのDRSスコアの平均は、アマンタジン群が21.8ポイント、偽薬群が22.2ポイントだった。アマンタジン群は87人中56人(64%)が最小意識状態(DRSスコア12~21ポイント)、31人(36%)が植物状態(DRSスコア22~29ポイント)、偽薬群では97人中64人(66%)が最小意識状態、33人(34%)が植物状態だった。外傷発生から割り付けまでの日数の中央値は、それぞれ48日と47日だった。

 アマンタジン群の1人と偽薬群の2人を除く181人が試験を完了した。

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