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NEJM誌から
セムロパリンが癌化学療法中のVTEを64%減
出血リスクは増やさず、SAVE-ONCO試験の結果

 化学療法を受けている患者は、静脈血栓塞栓症VTE)リスクが上昇した状態にある。イタリアPerugia大学のGiancarlo Agnelli氏らは、新たな超低分子ヘパリンであるセムロパリンsemuloparin)を化学療法中の癌患者に用いた二重盲検の多施設無作為化試験SAVE-ONCOで、この薬剤が偽薬に比べて、出血リスクを増やすことなくVTEリスクを約3分の1にすることを明らかにした。論文は、NEJM誌2012年2月16日号に掲載された。

 癌患者のVTEリスクのレベルは、癌の原発部位や病期、化学療法レジメンの種類や強度、年齢、合併疾患、ECOG PS(全身状態の指標)などによって異なる。リスクレベルが様々な癌患者に、抗血栓薬を予防的に投与した場合の利益を示した無作為化試験は、これまでほとんど行われていなかった。

 分子量が平均2000~3000ダルトンである超低分子ヘパリンのセムロパリンは、抗Xa活性は高く抗IIa活性は低いという特徴を持つ。血中半減期は16~20時間だ。

 著者らは、化学療法中の癌患者のVTE予防にセムロパリンを用いた場合の有効性と安全性を調べる無作為化試験を、47カ国の395施設で実施した。転移性または局所進行性の固形癌(肺、膵臓、胃、大腸、膀胱、卵巣癌)で、化学療法を開始することが決まっている18歳以上の患者3212人を登録。無作為に、セムロパリン20mg/日の皮下注射または偽薬に割り付け、化学療法開始当日から化学療法が終了またはレジメンが変更されるまで投与を継続した。

 主要有効性評価指標は、割り付けから投与終了の3日後までに発生した、上肢または下肢のあらゆる症候性の深部静脈血栓症、あらゆる非致死的肺塞栓症、VTE関連死亡を合わせた複合イベントとした。

 主要安全性評価指標は、割り付けから投与終了の3日後までに発生した「臨床的に関連のある出血」に設定。「臨床的に関連のある出血」は「重大な出血」と「それ以外の出血」に分け、「重大な出血」は、致死的な出血、頭蓋内、髄腔内、眼内、後腹膜、関節内、心臓周囲、筋内(コンパートメント症候群を伴う)の出血、ヘモグロビン値が2.0g/dL以上低下した場合、または2単位以上の全血または赤血球輸血を要した場合とした。これらの「重大な出血」以外で介入を必要とした出血を「それ以外の出血」と定義した。

 有効性の評価は登録者全員を対象に行い、安全性評価の対象は、割り付けられた薬剤の投与を1回以上受けた3172人とした。投与期間の中央値は両群ともに3.5カ月だった。

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