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NEJM誌から
低用量リバロキサバンで心血管イベント2次予防効果
急性冠症候群後の1万5526人を対象としたフェーズ3試験の結果

 急性冠症候群ACS)を経験した患者は、アスピリンなどを用いた標準治療を受けていても心血管イベントのリスクが高い状態にある。米Brigham and Women’s HospitalのJessica L. Mega氏らは、こうした患者にリバロキサバンを追加すると心血管イベントが抑制されること、利益とリスクのバランスが良いのは1日5mg(2.5mg1日2回)という低用量であることを、二重盲検の無作為化試験ATLAS ACS 2-TIMI 51によって明らかにした。論文は、NEJM誌電子版に2011年11月13日に掲載された。

 第Xa因子を阻害するリバロキサバンの心血管イベント抑制効果を調べる研究では、1日最大20mgまでの有効性が示されてきたが、用量依存的な出血リスクの上昇も報告されている。著者らは低用量のリバロキサバンを用いて、より利益とリスクのバランスが良い用量を見極めようと、このフェーズ3試験を実施した。

 08年11月から11年9月まで、44カ国766施設で患者登録を行った。ACS(ST上昇心筋梗塞、非ST上昇心筋梗塞、不安定狭心症)を発症した、入院から7日以内の18歳以上の患者で、血行再建術などにより症状が安定している1万5526人(平均年齢62歳)を登録し、全員に標準的な治療(低用量アスピリンのみ、またはチエノピリジン〔クロピドグレルまたはチクロピジン〕と併用)を適用した上で、リバロキサバン2.5mgを1日2回投与する群(1日投与量5mg、論文では2.5mg群と表記)、同5mgを1日2回投与する群(1日投与量10mg、論文では5mg群と表記)、偽薬の3群のいずれかに割り付けて投与した。

 有効性の主要評価指標は心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中を合わせた複合イベントに、2次評価指標は全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中を合わせた複合イベントに設定。安全性の主要評価指標は冠動脈バイパス術(CABG)関連ではないTIMI基準に基づく大出血とした。

 分析はmodified intention-to-treatで行った。割り付けられた患者全員を対象とし、イベント発生は、割り付け後から治療期間終了まで、割り付け薬の服用を中止した患者については中止から30日以内、割り付け薬を1回も使用しなかった患者については割り付けから30日以内のものをカウントした。

 登録された患者の50.3%がST上昇心筋梗塞、25.6%が非ST上昇心筋梗塞、24.0%が不安定狭心症と診断されていた。ACS発生から割り付けまでの日数の中央値は4.7日だった。標準治療として93%にアスピリン+チエノピリジンが適用されており、チエノピリジンの投与期間の平均は13.3カ月だった。

 リバロキサバンの投与期間は平均13.1カ月(最長は31カ月)で、1回以上割り付け薬を服用し、その後治療を中止した患者の割合は、2.5mg群が26.9%、5mg群は29.4%、偽薬群は26.4%だった。理由として多かったのは、有害事象と患者自身の選択だった。

 主要評価指標に設定された複合イベントは、リバロキサバン群で有意に少なかった。用量の異なる2グループを合わせたリバロキサバン群全体のイベント発生率は8.9%、対照群は10.7%で、ハザード比は0.84(95%信頼区間0.74-0.96、P=0.008)になった。複合イベントを構成する心血管死亡のハザード比は0.80(P=0.04)、心筋梗塞も0.85(P=0.047)と有意なリスク低下を示したが、脳卒中は1.24(P=0.25)で偽薬群との間に有意差は認められなかった。

 リバロキサバンの用量別にみると、2.5mg群では複合イベント発生率は9.1%(偽薬と比較したP=0.02)、5mgは8.8%(P=0.03)で、いずれも有意なリスク低減効果を示した。

 加えて2.5mg群では、偽薬群に比べて心血管死亡が有意に少なかった(2.7%と4.1%、ハザード比0.66、0.51-0.86、P=0.002)。全死因死亡リスクも有意に低下していた(2.9%と4.5%、ハザード比0.68、0.53-0.87、P=0.002)。一方、5mg群にはこれらの生存利益は認められなかった。偽薬群と比較した心血管死亡のハザード比は0.94(P=0.63)、全死因死亡のハザード比は0.95(P=0.66)。

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