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NEJM誌から
ADHD治療薬は重篤な心血管イベントを増やさない

 北米で報告された注意欠陥多動性障害ADHD)治療薬の有害事象の中に、心臓突然死心筋梗塞脳卒中が含まれていたことから、ADHD治療薬が重篤な心血管イベントのリスクを上昇させるのではないかという懸念を呼び起こしている。だが、このほど米Vanderbilt大学のWilliam O. Cooper氏らが行った大規模な後ろ向きコホート研究で、2~24歳の患者に対するADHD治療薬の投与は、それらのリスクの有意な上昇をもたらさないことが明らかになった。論文は、NEJM誌電子版に2011年11月1日に掲載された。

 年間270万人の小児がADHD治療薬の投与を受けている米国では、心臓突然死などの有害事象報告に基づいて、添付文書に黒枠警告の記載を求めるなどの指導が行われた。しかし、有害事象報告は少数の症例報告であり、コホートでリスク上昇が見られるのかどうかは明らかではなかった。

 そこで著者らは、地理的にも人口統計学的にも様々な患者の情報を登録している4つの医療保険グループ(テネシー州のメディケイド、ワシントン州のメディケイド、カリフォルニア州Kaiser Permanente、OptumInsight Epidemiology)のデータベースを利用して、ADHD治療薬と重篤な心血管イベントの関係を調べた。

 各データベースで情報登録が開始された年から05年末までに登録された2~24歳の小児と若者について、以下のADHD治療薬の使用の有無を調べた:メチルフェニデート、デキサメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、アンフェタミン塩、アトモキセチン、ペモリン。使用歴があった患者1人当たり2人まで、非使用者コントロールを選んだ。コントロールは、使用者と同じ保険に加入し、年齢や性別が一致する小児および若者とした。それらの対象者について、重篤な心血管イベント(心臓突然死、急性心筋梗塞、脳卒中)の有無を示す情報を抽出、医療記録を照会して確認した。

 2~24歳の120万438人(平均年齢11.1歳)を平均2.1年追跡した。コホートに発生した重篤な心血管イベントは81件で、発生率は10万人-年当たり3.1になった。内訳は、心臓突然死が33件(10万人-年当たり1.3)、急性心筋梗塞が9件(10万人-年当たり0.3)、脳卒中は39件(10万人-年当たり1.5)だった。

 ADHD治療薬の現在使用者については、37万3667人-年の追跡が可能で、その間に7件のイベントが発生していた、過去の使用者では60万7475人-年の追跡で25件のイベントが発生、非使用者については159万7962人-年の追跡で49件のイベント発生が確認された。

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