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NEJM誌から
バレット食道が食道腺癌になるリスクは従来推定より低い
罹患率は年間0.12%、ただし一般集団と比べたリスクは11.3倍

 食道腺癌の前駆病変と考えられているバレット食道の患者を5年(中央値)追跡した研究で、実際に食道腺癌に罹患する患者は年間0.12%にとどまることが明らかになった。ただし、一般集団と比較したリスクは11.3倍と高かった。デンマークAarhus大学病院のFrederik Hvid-Jensen氏らが、NEJM誌2011年10月13日号に報告した。

 バレット食道は胃食道逆流症の合併症で、軽度異形成高度異形成を経て食道腺癌に転じるとの考えから、内視鏡による経過観察が行われている。しかし、新規食道腺癌患者の約95%はバレット食道の診断歴を持たない。また、内視鏡を使った経過観察による生存利益は示されていない。

 これまで、バレット食道患者が食道腺癌または高度異形成となるリスクを調べた研究は複数行われているが、いずれも質が十分に高いとはいえなかった。そこで著者らは、デンマーク国民を対象とした大規模コホート研究を行うことにした。

 同国内で行われた生検の結果をすべて登録しているデンマーク病理学登録とデンマーク癌登録を利用して、人口540万人のデンマークで、1992年以降にバレット食道と診断されたすべての患者を抽出。食道腺癌または高度異形成の診断、他国への移住、死亡、もしくは09年まで追跡し、食道腺癌と高度異形成の罹患率を1000人-年当たりで求めた。

 調査対象となった期間のデンマーク全体の癌罹患率を用いて、相対リスクの指標となる標準化罹患比を求めた。標準化罹患比とは、対象となるコホートで実際に発生したイベントの件数を、コホートに予測されたイベントの件数(=コホートと年齢、性別、評価年度が同じ一般集団のイベント発生件数)で割ったものだ。

 生検を受け、バレット食道と診断された患者は1万1028人。年齢の中央値は62.7歳、男性が7366人、追跡期間は中央値5.2年(6万7105人-年)だった。

 バレット食道と診断された患者のうち、食道腺癌に罹患したのは197人。この期間の一般集団の食道腺癌診断は2602人だった。したがって、そのうち7.6%がバレット食道診断歴のある患者だったことになる。バレット食道患者の食道腺癌罹患率は、1000人-年当たり2.9(2.6-3.4)で、標準化罹患比は29.0(95%信頼区間25.1-33.3)になった。

 バレット食道が発見された内視鏡検査から1年以内に食道腺癌と診断された患者は131人。それ以降に発見された食道腺癌は66人で、(バレット食道患者で)食道腺癌に罹患した患者の3分の2は、バレット食道診断から1年以内に癌と診断されていた。これは、当初の内視鏡検査時に腺癌の存在が見逃されていた可能性を示唆する。

 そこで、バレット食道診断から1年以内の食道腺癌診断例を除外して食道腺癌罹患率を求めたところ、1000人-年当たり1.2(0.9-1.5)で、1年当たりのリスクは0.12%となった。これはバレット食道患者860人を1年追跡すると、食道腺癌が1例見付かることを意味する。標準化罹患比は11.3(88-14.4)で、一般集団と比べれば食道腺癌リスクは11.3倍と推定された。

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