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NEJM誌から
ICUでの非経口栄養投与開始は遅い方が転帰良好

 経腸栄養だけでは不十分な重症患者に対する非経口栄養投与の開始時期については議論がある。ベルギーLeuven Catholic大学のMichael P. Casaer氏らは、ICU入室から48時間以内に非経口栄養投与を開始した場合と、8日以降に開始した場合の患者の転帰を比較する無作為化試験を実施した。この結果、非経口栄養投与の開始は遅い方が患者のICU入室期間と入院期間は短くなり、合併症リスクも低いことが分かった。論文は、NEJM誌2011年6月29日号に掲載された。

 重症患者に対する栄養補給法に関する現行のガイドラインは、専門家の意見に基づく部分が多く、国によって内容が異なっている。欧州では、経口的な栄養摂取が十分ではない患者にはICU入室から2日以内に非経口栄養投与を開始する、としているが、米国とカナダでは、ICU入室時に栄養不良ではない患者については最初の1週間は摂取熱量が低い状態に置くことを勧めている。

 著者らは、欧州のガイドラインに沿った早期開始と、北米のガイドラインに示されている遅めの開始が死亡と合併症に及ぼす影響を比較するため、成人のICU入室患者を対象とする多施設無作為化試験EPaNIC(The Early Parenteral Nutrition Completing Enteral Nutrition in Adult Critically Ill Patients)をベルギーの7カ所の病院のICUで実施した。

 07年8月1日から10年11月8日まで、ICU入室患者のうち、栄養評価の指標であるNutrition Risk Screening(NRS)のスコアは3以上(スコアは1から7で3以上は栄養不十分と見なされる)だが、BMIが17以上で、栄養不良ではない患者4640人を登録。2312人を、ICU入室後48時間以内に非経口栄養投与を開始する群(早期開始群、欧州で行われた臨床試験なのでこちらが標準治療)に、2328人をICU入院から8日以降に非経口栄養投与を開始する群(遅め開始群)に割り付けた。遅め開始群については、ビタミンやミネラルを投与しながら経口的な栄養補給を行い、7日後まで栄養不足の状態が続いていた患者に8日目から非経口栄養投与を実施した。

 両群ともに摂取熱量は2880kcalを目標値とした。どちらのグループも経口栄養補給を増やしつつ、血糖値が正常(80~110mg/dL)に維持されるようインスリンを静脈内持続投与した。

 安全性の評価指標は、8日以内のICUからの生存退室、ICU死亡率、院内死亡率、90日死亡率、合併症発生率、低血糖発生率などとし、有効性の評価指標は、ICU滞在日数などに設定した。

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