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NEJM誌から
開胸術適応の重症大動脈弁狭窄症にもカテーテル治療は有効
約700人を対象とした無作為化試験の結果

 重症の大動脈弁狭窄症で、開胸による大動脈弁置換術が適応になる患者に対して、経カテーテル大動脈弁置換術は代替治療手段になり得るのだろうか。この疑問を検証すべく、これら2通りの術式の有効性と安全性を比較する無作為化試験を行った米Columbia大学医療センターのCraig R. Smith氏らは、1年時の全死因死亡率においてカテーテル群は開胸術群に劣らないとの結果をまとめた。論文は、NEJM誌2011年6月9日号に掲載された。

 症候性の大動脈弁狭窄症を放置した場合の死亡率は高い。患者の生存と症状軽減を図るには大動脈弁置換術が有効だが、中には、開胸術による合併症または死亡のリスクが高い患者が存在する。そうした患者には、代替手段として侵襲性の低い経カテーテル大動脈弁置換術が有望かもしれない。

 経カテーテル法は、大腿動脈または左室心尖部からカテーテルを使って生体弁を誘導・留置する治療法だ。著者らは以前に、開胸による大動脈弁置換術の適応にならないハイリスクの大動脈弁狭窄症患者に対し、経カテーテル法が死亡率を低下させることを示していた。今回著者らは、ハイリスクだが開胸術が適用可能な患者を対象に、経カテーテル法と開胸術の安全性と有効性を比較する無作為化試験を行った。

 07年5月11日から09年8月28日までに、25施設(米国22施設、カナダ2施設、ドイツ1施設)で患者登録を実施。併存疾患によって手術合併症または死亡のリスクが高いとみなされた症候性の重症大動脈弁狭窄症患者で、開胸術が適用できる699人を登録し、バルーン拡張型ウシ心臓弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術(348人、平均年齢83.6歳)、または、開胸大動脈弁置換術(351人、84.5歳)に割り付け、術後1年以上追跡した。

 主要エンドポイントは、1年時の全死因死亡に設定。著者らは、開胸術と比較して経カテーテル術は非劣性と仮定した。2次エンドポイントは、心血管死亡、NYHA分類のクラス、脳卒中、血管合併症、出血などに設定。分析は主にintention-to-treatで行った。

 699人のうち42人(カテーテル群の4人と開胸術群の38人)は、割り付けられた治療を受けなかった。また、カテーテル群の16人は開胸術に変更され、開胸術に割り付けられた患者の1人は術中にカテーテル治療に切り替えられていた。割り付け通りの治療を受けなかった患者が一定数存在したことから、実際に行われた治療に基づくas-treated分析も行った。

 登録患者の術後30日間の手術合併症と死亡のリスクを米胸部外科学会のリスクモデルを用いて評価したところ、平均スコアは11.8%とハイリスクを示した。

 追跡期間の中央値は1.4年で、最長は3.3年になった。

 カテーテル群のうち104人に経心尖部アプローチ、244人に経大腿動脈アプローチが用いられていた。そこで、開胸術群351人のうち103人を経心尖部アプローチの対照群に、248人を経大腿動脈アプローチの対照群にした。

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