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NEJM誌から
エキセメスタンでハイリスク女性の浸潤性乳癌リスクが65%低下
4560人を対象とした二重盲検無作為化試験の結果

 乳癌の危険因子を有する女性において、アロマターゼ阻害薬のエキセメスタンは、タモキシフェンやラロキシフェンよりも安全で有効な一次予防法である可能性がある―。そんな新たな知見が、国際的な二重盲検無作為化試験「NCIC CTG MAP.3」で得られた。米Massachusetts総合病院のPaul E. Goss氏らがNEJM誌電子版に2011年6月4日に報告した論文によると、エキセメスタンを使用した女性では、中央値35カ月の追跡で、偽薬群に比べて浸潤性乳癌の罹患リスクが65%低かった。

 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)のタモキシフェンとラロキシフェンは、浸潤性乳癌の一次予防において有効と報告されているが、静脈血栓塞栓症などの重症有害事象が懸念される。そのため、乳癌発症リスクが高く、これらの薬剤による有害事象のリスクは低いとみられる、一部の女性にのみ適用されている。

 アロマターゼ阻害薬については、術後補助療法としてのデータしかないが、早期乳癌患者において、タモキシフェンに比べ対側乳房の癌発症を予防する効果が高く、有害事象は少ないことが示されていた。そこで著者らは、アロマターゼ阻害薬であるエキセメスタンを浸潤性乳癌の一次予防に用いる臨床試験「NCIC CTG MAP.3」を、カナダ、米国、スペイン、フランスで実施した。

 04年9月から10年3月23日まで患者登録を実施。35歳以上の閉経女性(自然な閉経、子宮を摘出しFSH〔卵胞刺激ホルモン〕が閉経女性のレベルに低下、両側卵巣摘出などによって12カ月以上月経がない、など)で、以下の危険因子を1つ以上有する人々を登録した:60歳以上 、乳癌リスクの推定に広く用いられているGailモデルにおいて5年乳癌発症リスクスコアが1.66%超、過去に乳房生検により異型乳管過形成/異型小葉過形成/非浸潤性小葉癌のいずれかの診断を受けた、過去に非浸潤性乳管癌によって乳房切除術を受けた。

 BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異を保有する女性などは登録から除外した。

 条件を満たした女性を、当初は3通りの治療に割り付けた(エキセメスタン25mg+偽薬、エキセメスタン25mg+セレコキシブ、偽薬+偽薬)が、まもなくセレコキシブによる心血管リスク上昇が報告されたため、セレコキシブの投与を中止し、エキセメスタン25mgまたは偽薬のいずれかに1対1で割り付けるよう設計を変更した。

 このevent-driven試験(浸潤性乳癌が38例になるまで続行を予定)の追跡期間は最長5年に設計されていた。主要エンドポイントは浸潤性乳癌の罹患率、2次エンドポイントは浸潤性乳癌と非浸潤性乳癌(乳管癌:DCIS)の罹患率や有害事象、健康関連QOL(SF-36)、閉経期特異的なQOL(MENQOL)などに設定し、intention-to-treatで分析した。

 4560人(年齢の中央値は62.5歳、Gailスコアの中央値は2.3%)を登録。無作為にエキセメスタン(2285人)または偽薬(2275人)に割り付け、年1回マンモグラフィーと視触診による乳房の検診を行った。10年11月5日に浸潤性乳癌罹患が予定数を超えたため、データ収集を打ち切った。

 登録の理由となった主な危険因子の内訳は、Gailリスクスコアが1.66%超だった女性は40%、異型乳管過形成/異型小葉過形成/非浸潤性小葉癌既往または非浸潤性乳管癌による乳房切除歴だった女性は11%、60歳以上だった女性は49%だった。別の危険因子を保有しているが60歳以上だった女性を含めると、登録者全体の68%が60歳以上だった。

 10年11月5日の時点で、エキセメスタン群の32.8%、偽薬群の28.7%が割り付け薬を使用していなかった。服用中止の理由として多かったのは有害事象(エキセメスタン群の15.4%、偽薬群の10.8%、P<0.0001)だった。

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