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NEJM誌から
新生児のCMV感染を検出する簡便なPCR検査を開発

 新生児の先天性サイトメガロウイルスCMV)感染のスクリーニングにおいて、スワブ採取唾液、またはスワブごと乾燥させた唾液標本を用いる簡便なリアルタイムPCR検査が開発された。同手法を開発した米Alabama大学のSuresh B. Boppana氏らは、標準法と比較してその精度が十分高いことを明らかにし、NEJM誌2011年6月2日号に報告した。

 先天性のCMV感染症は、非遺伝性の感音性難聴の大きな原因の1つだ。CMV感染小児の10~15%は、成長過程において感音性難聴と診断されるが、これらの患者の多くが新生児聴覚スクリーニング検査では「異常なし」と判定されている。したがって、出生後の早い段階で先天性のCMV感染の有無を知ることができれば、難聴のリスクをより早く見極めて、言語の発達を適切に支援できると考えられる。

 これまで、CMV感染の有無の判定には唾液を標本とする迅速培養法が用いられてきたが、この方法は自動化できず、大規模スクリーニングには適さなかった。

 著者らは先に、出生時に作成される乾燥血液スポットを標本とするCMV検査を開発したが、標準法である迅速培養法に比べ検出精度が劣っていた。そこで、2つの代替法を考案した。それは、(1)唾液を採取したスワブを検体輸送液に入れて摂氏4度で保管したもの、または(2)スワブを乾燥させて室温保管したもの―を標本として、リアルタイムPCRを行ってCMVを検出する方法で、DNA抽出過程なしにそのままPCRが行えるよう工夫されている。

 著者らは、これらの唾液標本または乾燥標本を用いたリアルタイムPCR検査と、標準法(迅速培養法)の精度を比較するために、新生児を対象に前向きの多施設スクリーニング研究「CHIMES」を実施した。

 米国の7カ所の病院で、08年6月から09年11月までに生まれた新生児3万4989人を前向きに登録し、迅速培養法とPCR法を用いてCMV感染の有無を調べた。陽性と判定された新生児については、再度唾液と尿を採取し、再び迅速培養法とPCR法を行って感染を確認した。

 初回の唾液標本は生後1.0日で採取されていた。再検査用唾液標本の採取は3.6週時に行われていた。

 1万7662人がスワブ採取唾液をそのまま標本としたPCR検査と迅速培養法の両方を受け、93人(0.5%、95%信頼区間0.4-0.6%)がCMV陽性の判定を受けた。うち85人(0.5%、0.4-0.6%)はPCR法と培養法のいずれの結果も陽性で、PCR法のみ陽性例は8人だった。

 したがって、唾液標本を用いるPCR検査の感度は100%(95.8-100%)、特異度は99.9%(99.9-100%)で、陽性予測値は91.4%(83.8-96.2%)、陰性予測値は100%(99.9-100%)となった。陽性尤度比は2197(1099-4393)、陰性尤度比は0(0.0-0.1)だった。

 計93人の陽性児のうち79人(85%)が再検査を受けた。2通りの検査の両方で陽性と判定されていた72人のうち1人は、再検査で陰性と判定された。PCR法のみが陽性を示した8人のうち7人が再検査を受け、6人は陰性と判定された。

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