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NEJM誌から
米国南部ではアルマジロがハンセン病を媒介か
ゲノム解析の結果

 米国では今も毎年約150人のハンセン病患者が新規に診断されているが、約3分の1のケースで感染源は不明だ。米Louisiana州立大学のRichard W. Truman氏らは、米国南部に見られる野生のアルマジロとその地域のハンセン病患者から検出されるらい菌(Mycobacterium leprae)のゲノム配列を比較し、世界でこの地域にしか見られない多型をもつ菌がアルマジロとヒトの両方に存在することを明らかにした。したがって、米国南部の一部地域では、アルマジロがハンセン病を媒介していると考えられた。論文は、NEJM誌2011年4月28日号に掲載された。

 ハンセン病は過去の感染症と考えられているが、現在でも熱帯や亜熱帯で患者が発生しており、08年の世界の新規診断患者数は24万9007人と報告されている。

 米国で発生する患者の半数以上は、国外の流行地域での曝露による感染と考えられているが、約3分の1の患者は国外居住歴を持たない。これらの患者は米国内での感染が疑われるが、他の患者との接触が確認されるケースはわずかだ。そうした感染源不明患者は、主にテキサス州とルイジアナ州で発生しているが、近年、発生地域が拡大している。

 一方、らい菌は人工培地では培養できず、信頼できる動物モデルはココノオビアルマジロ(Dasypus novemcinctus)のみだ。だが、ほかの種類のアルマジロでも、らい菌の感染は起こる。実際に、野生のアルマジロのらい菌感染が、アラバマ州、アーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州とメキシコで報告されており、それらの一部地域ではらい菌を保菌するアルマジロが全体の約2割に上る可能性も指摘されている。

 これまでにも、アルマジロからヒトへのらい菌感染を示唆する症例報告は複数あり、4件のケースコントロール研究が、アルマジロとの接触がハンセン病の危険因子である可能性を指摘していた。

 そこで著者らは、野生のアルマジロとハンセン病患者から同定されたらい菌のゲノム配列を比較し、アルマジロが米国での患者発生に果たす役割を調べることにした。

 まず、ヒト由来のらい菌の参照株数株と野生のアルマジロ由来のらい菌株のゲノム配列を比較したところ、それらの間の相同性は99.995%と非常に高かった。続いて比較ゲノム学的解析を行ったところ、米国人患者に由来するSNP-タイプ3I株には、タイ、ブラジルで分離されたらい菌のゲノムに見られない一塩基多型(SNPs)が51カ所と、特定の11塩基対の挿入欠失(タイプ3Iの菌株には11塩基対が1コピーしかないが、それ以外のすべての株には2コピー存在していた)が見い出された。

 これらSNPと挿入欠失多型に、タンデムリピートの反復回数(VNTR多型)を組み合わせて、米国南部の5州で捕獲された野生アルマジロから同定されたらい菌33株と、ルイジアナ州の1クリニックの外来を受診した米国人ハンセン病患者50人から採取した皮膚標本に存在するらい菌の遺伝子型を比較した。

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