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NEJM誌から
僧帽弁逆流に対し、経皮的クリップ術が好成績
外科的治療と比較したEVEREST II 試験の結果

 中等症から重症の僧帽弁閉鎖不全症僧帽弁逆流)があり、手術が適応になる患者を対象に、低侵襲の僧帽弁閉鎖不全治療デバイスであるMitraClipを用いた経皮的修復術と外科的治療の有効性と安全性を比較したEVEREST II 試験の結果が、NEJM誌2011年4月14日号に報告された。著者の米NorthShore大学Evanston病院のTed Feldman氏らは、経皮的修復術群には、手術群に比べてその後に外科的治療が必要になった患者が多く存在したが、短期的な安全性とQOL、1年後の心不全の程度や左室駆出分画低下率などにおいては外科的治療に優ることを明らかにした。

 僧帽弁閉鎖不全症は、心臓収縮時に僧帽弁弁尖が完全に閉じないために血液が左心房に逆流する疾患で、心臓弁膜症の中で最も一般的だ。逆流量が多いと代償的に左室肥大が生じる。重症の閉鎖不全は左室機能不全とうっ血性心不全を引き起こし、患者の生命を危険にさらす。重症度に応じて薬物療法または外科的治療が選択されており、現行のガイドラインは、中等症から重症(グレード3+または4+)の逆流があり左室機能不全が見られる患者に手術を推奨している。

 一方、今回の試験で検討された経皮的修復術は、Abott Vascular社のMitraClipシステムを用いたもの。大腿静脈から心臓にカテーテルを挿入、心エコーガイド下で、僧帽弁を形成する2枚の弁尖の開口端部中央をコバルトクロム合金製のクリップで留め、開口部分を2つに分けることで逆流量を減らす。クリップを留めた後に逆流レベルを測定し、グレード2+以下になっていることを確認し、逆流量が減少していなければ、2つめのクリップを適用するか、クリップを外して外科的治療に変更する。治療はカテーテル検査室で行われる。拍動を止めなくても実施できるため、人工心肺は不要だ。MitraClipを適用された患者は、クロピドグレル75mg/日を30日間、アスピリン325mg/日を6カ月間服用する。

 多施設無作為化試験EVEREST IIの患者登録は、05年9月から08年11月まで、米国とカナダの37施設で行われた。中等症から重症(グレード3+または4+)の僧帽弁閉鎖不全症で手術が適用となる人々を選び、症候性の患者は左室駆出分画が25%超で左室収縮末期径が55mm以下であること、無症候の場合には、以下の条件を1つ以上満たすことを組み込み条件とした:左室駆出分画が25~60%、左室収縮末期径が40~55mm、新規心房細動あり、肺高血圧症あり。解剖学的には僧帽弁を形成する前尖と後尖の中央部が適切に合わさらないために逆流が生じていることを条件とした。

 279人を登録し、経皮的修復術(184人)または外科的治療(95人)に割り付けた。

 主要エンドポイントは、12カ月間の複合イベント(死亡なし、僧帽弁機能不全による外科的治療の適用なし、グレード3+または4+の僧帽弁逆流なし)に設定、安全性評価指標は、30日以内の主要な有害事象(死亡、心筋梗塞、外科的治療失敗による再手術、有害事象による非待機的心血管手術、脳卒中、腎不全、深部創感染、48時間を超える機械的換気、合併症による消化管の手術、新たな永続性心房細動の発生、敗血症、2単位以上の輸血)を合わせたものとした。分析はintention-to-treatで行った。

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