日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
中国の血小板減少症候群の原因とみられる新ウイルスを発見
ブニヤウイルス科の新たなウイルス、ダニが媒介か

 2009年3月後半から11月半ばにかけて、中国の湖北省と河南省で発生した、血小板減少症候群を伴う重度発熱(severe fever with thrombocytopenia syndrome;SFTS)の原因が、ブニヤウイルスフレボウイルス属の新たなウイルスであることを示すデータを、中国疾病対策予防センター(CDC)のXue-Jie Yu氏らが、NEJM誌2011年4月24日号に発表した。

 SFTSの特徴は、急性の38度以上の発熱と、血小板数の低下(10万/μL未満)だ。ほかに、消化器症状、白血球減少症などを呈し、死亡率は30%と高い。当初はその症状から、ヒトのアナプラズマ病ではないかと考えられ、病原体はAnaplasma phagocytophilumだろうと予想されたが、多くの患者からこの細菌は検出されず、原因は不明のままだった。

 著者らは、SFTS流行地域で急性熱性疾患サーベイランスを精力的に行い、病原体とみなされる新たなウイルス(SFTSV)を同定、ウイルスの特性、SFTSの臨床的、疫学的な特徴などを今回の論文にまとめた。

 著者らは、中国の6省(遼寧省、山東省、江蘇省、安徽省、湖北省、河南省)で同定されたSFTS例から発症後7日目の血液標本を得て、培養による病原体の分離を試みた。病原体の正体が分からないため、ウイルス、リケッチアなどに対する感受性を持つ、様々な培養細胞を用意して感染実験を行った。

 最初のSFTSVは、河南省の42歳の男性の単核白血球とイヌ由来DH82細胞の共培養により発見された。その後、Vero細胞を用いて、急性期の患者から11株の分離に成功した。

 SFTSVは複数の種類の細胞に感染したが、感染によって細胞の形態が変化するのはDH82細胞のみだった。ウイルス粒子は球形で直径は80~100nm、透過型電子顕微鏡観察の結果は、細胞内では小胞(おそらくゴルジ体)の内部に存在していることを示した。

 RNA配列を解読したところ、ブニヤウイルス科のフレボウイルス属の新たなウイルスであることが判明、SFTSブニヤウイルス(SFTSV)と名付けた。電子顕微鏡観察の結果も、ウイルス粒子がブニヤウイルスの形態学的特徴を持っていることを示した。

 12株のゲノム配列を比較したところ、相同性は96%と高かった。

 RT-PCRによりSFTSVの感染が確認され、急性期(発熱から2週間以内)と回復期の血清が得られた35人の患者を対象に、ELISA、間接的免疫蛍光法、マイクロ中和試験を行って、患者の血清標本中のウイルス特異的抗体のレベルを調べたところ、全員に抗体価の上昇もしくは血清転換が見られた。また、回復期には高レベルの中和抗体が産生されていた。

この記事を読んでいる人におすすめ