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NEJM誌から
水銀曝露量と心血管疾患に有意な関係はなし

 魚の摂取量が多いほど心血管イベントは少ないという報告があるが、その一方で、魚介類の摂取を通じた日常的なメチル水銀曝露に対する不安は根強い。米Harvard 大学医学部のDariush Mozaffarian氏らは、足指の爪に含まれる水銀量を水銀曝露の指標として、その後の心血管イベント発生との関係を前向きに調べた。この結果、爪の水銀含有量と心血管リスクの間に有意な関係は見出されなかった。論文は、NEJM誌2011年3月24日号に掲載された。

 成人がメチル水銀に曝露していると心血管疾患のリスクが上昇する可能性が指摘されているが、この関係を明確に示した研究はこれまでなかった。魚介類の摂取自体、また、魚介類からのセレンの摂取(動物実験ではセレンがメチル水銀の毒性を軽減するとの報告がある)が、メチル水銀の心血管疾患への影響を修飾している可能性があるため、正確な評価は難しいと考えられている。

 著者らは、Health Professionals Follow-up Study(HPFS)とNurses’Health Study(NHS)に登録された人々(合計すると男性が5万1529人、女性が12万1700人)を対象にネステッドケースコントロール研究を実施した。

 HPFSは1987年に68%の登録者から、NHSは82~84年に52%の登録者から爪を採取し保管していた。著者らは先に、足指の爪に含まれる水銀とセレンは、これらの日常的な曝露量を反映する優れたバイオマーカーであることを明らかにしている。

 そこで、爪が保存されていた男女を対象として、前向きに心血管イベント(冠動脈疾患死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中)の発生を調べた。これらのイベントを経験していた3427人をケースとし、年齢、性別、人種、喫煙歴がマッチするコントロールをそれぞれ1人ずつ選んで、爪に含まれる総水銀量とセレンの量を中性子放射化分析により測定した。

 人口統計学的特性、心血管危険因子、魚の摂取量、生活習慣に関する情報は質問票を用いて入手した。

 水銀曝露と心血管イベントの関係は、条件付きロジスティック回帰モデルを用いて分析した。

 爪の提供からの追跡期間は11.3年(中央値)だった。ケース3427人の内訳は、1532人が非致死的心筋梗塞、831人が冠疾患死亡、1064人が脳卒中だった。

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