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NEJM誌から
重症冠疾患における薬剤溶出ステントとバイパス、QOL転帰の差はわずか
SYNTAX試験のデータを分析

 重症冠動脈疾患患者に対し血行再建術を行う際に、薬剤溶出ステントDES)留置術を選択した場合と、冠動脈バイパス術CABG)を選択した場合とでは、QOL面での転帰はどのように異なるのだろうか。米University of Missouri-Kansas City (UMKC)のDavid J. Cohen氏らは、この疑問に基づき、先に行われたSYNTAX試験に登録された重症冠動脈疾患患者のデータを分析した。この結果、狭心症発作のリスク低減はCABGの方が有意に大きいこと、ただし両群間の絶対差はわずかであることが明らかになった。論文は、NEJM誌2011年3月17日号に掲載された。

 多枝病変に対する血行再建術を受ける患者では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI;バルーン血行再建術またはベアメタルステント留置術)よりもCABGを選択した方が、狭心症発作リスクが低く、QOLは高いことが示されている。だが、これまで、PCIでDESを留置した場合の狭心症発作とQOLへの影響をCABGと比較した研究は行われていなかった。治療選択に当たってこの種の情報が必要だと考えた著者らは、大規模な無作為化試験SYNTAXで収集された前向きデータを分析することにした。

 SYNTAXは、欧米17カ国の85医療機関で、05年3月から07年4月に、治療歴のない3枝病変または左冠動脈主幹部病変(単独または1枝、2枝、3枝病変が併存)の患者を1800人登録し、CABG(897人)またはDES留置(パクリタキセル溶出ステント、903人)に割り付けた試験だ。ベースラインと1カ月後、6カ月後、12カ月後に、シアトル狭心症質問票(SAQ)を用いて疾患特異的な健康関連QOLを、SF-36などを用いて全般的な健康関連QOLを評価していた。

 今回の分析の主要エンドポイントは、SAQの狭心症発作頻度に関するサブスケールのスコア(0~100ポイント、ハイスコアほど健康状態は良好)に設定された。

 ベースラインの患者特性とQOLスコアは両群に差はなかった。割り付け前の1カ月に狭心症発作を毎日経験していた患者が約12%いたが、約20%の患者は狭心症発作なしに割り付け前の1カ月を過ごしていた。

 6カ月後と12カ月後のSAQスコアとSF-36スコアは、CABG群、DES群共にベースラインより有意に高かった。

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