日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
乳幼児の急性中耳炎にアモキシシリン-クラブラン酸は有効
2件の無作為化試験の結果

 低年齢の小児の急性中耳炎患者において、注意深い観察と抗菌薬投与のどちらがより安全で有効なのか。この疑問に基づいて、厳格な基準で診断された2歳未満または3歳未満の急性中耳炎の小児を、急性中耳炎に最も有効とみなされているアモキシシリン-クラブラン酸または偽薬に割り付けて有効性と安全性を調べた2件の無作為化試験の結果が、NEJM誌2011年1月13日号に掲載された。いずれの試験も、抗菌薬投与群には有害事象が有意に多いが、治療失敗は有意に少ないことを示した。

 米国では急性中耳炎の小児患者には抗菌薬が投与されてきたが、欧州では、抗菌薬使用を抑制するために、当初は注意深い観察を行って、改善が見られない患者にのみ抗菌薬を用いるアプローチが推奨されている。

 注意深い観察の安全性と有効性を示した臨床試験は複数あるが、それらについては、診断基準が厳格でない、より低年齢の小児の登録人数が少ない、用いられた抗菌薬の選択や用量が適切でない、などの問題が指摘されている。また、報告されている偽薬群の治癒率は一般診療で見られるより高かった。 

 そこで、米Pittsburgh大学医療センターのAlejandro Hoberman氏らは、「注意深い観察」という選択の有効性と安全性を確認する質の高い研究が必要と考え、診断を厳格に行い、抗菌薬としてアモキシシリン-クラブラン酸を用いる無作為化試験を実施した。

 06年11月から09年3月に、厳格な基準に基づいて急性中耳炎と診断された、生後6カ月から23カ月の小児291人を登録。無作為にアモキシシリン-クラブラン酸合剤(アモキシシリン90mg/kg/日、クラブラン酸6.4mg/kg/日、144人)または偽薬(147人)に割り付けて10日間投与した。その間の症状の変化は、保護者に電話して聞き取り調査を行うと共に、症状の程度を示すスコア(AOM-SOS)を毎日記録するよう保護者に依頼した。AOM-SOS(Acute Otitis Media Severity of Symptoms)は、著者らが作成した症状の重症度の指標で、スコア0は症状なし、14は最も重症を意味する。

 主要アウトカム評価指標は、症状消失までの時間(初めてAOM-SOSのスコア0または1を達成するまでと、2回続けてスコア0または1を達成するまでの期間の2通り)と、追跡期間中の症状の程度(AOM-SOSスコアの平均)に設定。

 投与開始から2日目の時点で症状が消失(初回スコア0または1を達成)していた患者は、治療群では35%で、4日目にはこれが61%になり、7日目の時点では80%になっていた。偽薬群ではそれぞれ28%、54%、74%だった(全体の比較のP=0.14)。

 急性中耳炎の場合、いったんスコアが0または1になっても次の評価時点で再びスコア2以上になる患者が少なくないため、2回連続してスコアが0または1となった患者の割合を調べた。治療群は2日目に20%、4日目は41%、7日目は67%で、偽薬群はそれぞれ14%、36%、53%だった(全体の比較のP=0.04)。

 最初の7日間の症状スコアの平均は、治療群の方が低く(P=0.02)、10~12日の受診時のスコアも同様だった(P=0.01)。ただし、登録時の症状が軽かった患者群(AOM-SOSスコアが8以下)では、10~12日時点の症状スコアの差は有意ではなく(P=0.14)、より重症だった患者(スコアが8超)には有意差が見られた(P=0.02)。

 臨床的な治療失敗(症状改善が見られない、または耳鏡所見が悪化を示す、もしくはそれら両方)は治療群で少なかった。4日目または5日目の受診時またはそれ以前の治療失敗は、治療群4%、偽薬群23%(P<0.001)、10日目から12日目の受診時またはそれ以前の治療失敗(完全な、またはほぼ完全な症状消失がなく、耳鏡所見における炎症兆候消失もない)も16%と51%(P<0.001)だった。

この記事を読んでいる人におすすめ