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NEJM誌から
活性型第VII因子製剤の適応外使用は動脈血栓塞栓症リスクを高める
特に高齢者は注意

 生命を脅かす出血に対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤rFVIIa)(商品名ノボセブン)の適応外使用に、高い関心が向けられている。懸念されるのは、血栓塞栓症リスクが明らかでないことだ。そこでオランダAmsterdam大学のMarcel Levi氏らは、これまでに行われたすべての無作為化試験のデータを利用してrFVIIa群と偽薬群の血栓塞栓症の発生率を調べた。その結果、血栓塞栓イベント全体のリスクには有意な差はないが、動脈血栓塞栓症のリスクはrFVIIa群において偽薬群よりも有意に高まること、特に高齢者でリスク上昇が大きいことが明らかになった。論文は、NEJM誌2010年11月4日号に掲載された。

 rFVIIaは、血友病AまたはBの患者で血液凝固因子に対するインヒビター(血友病Aでは第VIII因子、血友病Bの患者では第IX因子に対する抗体)を保有する人々、後天性血友病の患者、血液凝固第VII因子欠乏症の患者の止血管理に適用される。

 しかし近年、この薬剤を、生命を脅かす出血の治療や予防に用いる適応外使用が広まりつつあり、症例報告や小規模臨床試験では有用性が示されている。こうした使用により、血栓塞栓性の合併症リスクの上昇も懸念されるが、これまでに行われたリスク評価の多くは後ろ向き研究によるものであり、有害事象リスクの高い患者を対象としている研究が多かった。著者らは、より信頼性の高い情報を得るために、既に報告されているrFVIIaの適応外使用に関するすべての無作為化試験のデータを入手し、血栓塞栓イベントの発生率を調べた。

 分析対象となったのは、この製品を開発したNovo Nordisk社が資金を提供した29件の研究と、Medlineで検索して選び出した無作為化試験6件の計35件。登録患者の合計は4468人で、うち4119人(26件の研究)は出血リスクを抱えた患者、349人(9件の研究)は健常人ボランティアだった。rFVIIaが適応された疾患は、中枢神経系の突発的出血(5件の研究、登録者の総数に占める患者の割合は31.3%)、肝疾患の進行による出血(7件、27.8%)、外傷性出血(3件18.7%)、心臓手術による出血(3件、6.0%)、外傷性脳内出血(1件、2.2%)、脊髄脊椎手術(1件、1.1%)、その他(6件、5.1%)となっていた。

 血栓塞栓性イベントの発生率を患者とボランティアに分けて推定した。

 患者4119人のうち、398人に血栓塞栓性イベントが発生。rFVIIa群は2583人中264人(10.2%)、偽薬群は1536人中134人(8.7%)で、年齢と適応疾患で調整したオッズ比は1.17(95%信頼区間0.94-1.47)と有意差を示さなかった。

 ただし、このうち動脈血栓塞栓イベントはrFVIIa群に有意に多く発生していた。5.5%(141人)と3.2%(49人)で、オッズ比は1.68(1.20-2.36、P=0.003)。

 静脈血栓塞栓イベントの発生率には差はなかった。5.3%(137人)と5.7%(88人)で、オッズ比0.93(0.70-1.23、P=0.61)。

 Novo社から資金提供を受けた研究のみに対照を限定して分析しても、同様の結果になった。

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