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NEJM誌から
EML4-ALK融合遺伝子を持つ非小細胞肺癌患者にクリゾチニブが有効
6.4カ月時点の全奏効率は57%、耐性獲得が課題

 非小細胞肺癌患者の一部に、ALKの転座に起因するEML4-ALK融合遺伝子が認められる。米Massachusetts総合病院のEunice L. Kwak氏らは、そうした肺癌患者にALK阻害薬クリゾチニブを適用すると高い奏効率が得られることをフェーズ1試験で明らかにした。だが、一部の患者にクリゾチニブ耐性が見られたことから、自治医大のYoung Lim Choi氏らは融合遺伝子の配列を調べて、治療開始以降にこの遺伝子上に新たに生じた突然変異2つが癌細胞に耐性を付与していることを明らかにした。どちらの論文も、NEJM誌2010年10月28日号に掲載された。

 受容体型チロシンキナーゼをコードするALK(anaplastic lymphoma kinase、未分化大細胞型リンパ腫で最初に見付かったためこの名で呼ばれている)の転座または活性化突然変異は、非小細胞肺癌をはじめとする複数種類の癌で見付かっている。非小細胞肺癌では、ALK遺伝子の酵素活性領域が、転座によって微小管会合タンパクの一種であるEML4(echinoderm microtubule-associated protein- like 4)遺伝子のN末側と融合した、EML4-ALK融合遺伝子が見付かる。EML4遺伝子の切断は様々な部位で起こるが、いずれも形質転換能を有することがin vitro実験により示されている。非小細胞肺癌患者の2~7%がこの融合遺伝子を保有するという。また、非小細胞肺癌では、まれではあるがKIF5B遺伝子とALKの融合遺伝子やTFG遺伝子とALKの融合遺伝子も見付かる。

 今回Kwak氏らは、ALKチロシンキナーゼとMETチロシンキナーゼを阻害する経口薬のクリゾチニブをALK転座陽性患者に適用する初期段階の臨床試験を行い、有効性と忍容性を調べた。

 約1500人の非小細胞肺癌患者に由来する腫瘍標本を対象にスクリーニングを行い、ALK転座を保有する進行した肺癌患者82人を選出、フェーズ1拡大コホート試験に登録した。患者登録は08年8月から10年2月10日まで行った。

 先に行われたフェーズ1試験の前半では、難治性のあらゆる固形癌の患者を登録、最大耐用量の決定を目指した。得られたデータに基づいて、推奨用量は250mgを1日2回、連続投与が最適と判定された。今回の拡大コホート試験が対象を非小細胞肺癌患者とした理由は、フェーズ1の前半で治療に反応した患者がこの病気でALK転座陽性だったことにある。

 拡大コホート研究に登録された82人のうち、94%が治療歴を持っていた。ALK転座陽性患者は、転座が見付からなかった患者に比べて若く、喫煙歴のある患者は少なく、腺癌患者の割合が高かった。

 患者の治療に対する反応をRECIST基準を用いて評価したところ、治療期間の平均が6.4カ月となった時点の全奏効率は57%(82人中47人、46人が部分奏効で1人は完全奏効)だった。27人(33%)は病態安定と判定された(うち5人はおそらく部分奏効と見なされたが、データ収集時点では確認のためのCT検査が実施されていなかった)。

 8週時点で調べた病勢コントロール率(完全奏効+部分奏効+病態安定)は87%(82人中71人)だった。

 治療中に進行が認められた患者が82人中6人(7%)いた。

 今回の分析のデータ収集期限とされた10年4月7日の時点で、82人中63人(77%)はクリゾチニブの使用を継続していた。6カ月無増悪生存率は推定72%で、その時点では中央値は得られなかった。

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