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NEJM誌から
結核菌感染とリファンピシン耐性を同時検出できる検査
「Xpert MTB/RIF」、未処理の喀痰からでも2時間以内に高感度に検出

 結核菌の感染とリファンピシン(リファンピン、以下RIF耐性の有無を同時に検出できる新しい検査法「Xpert MTB/RIF」が、簡便で高性能であることを示すデータを、スイスFoundation for Innovative New DiagnosticsのCatharina C. Boehme氏らがNEJM誌2010年9月9日号に報告した。

 結核の制圧に向けた取り組みの中で、薬剤耐性菌の感染や、HIV感染者の結核感染(塗抹陰性になりやすい)をより迅速に正確に診断する技術が求められている。早期診断は、死亡率の低減と感染拡大の阻止に欠かせないが、高感度の診断法の多くは技術的に複雑で、特別な機器を必要とするために利用が限られており、途上国などではその利益を享受できていない。

 官民共同で開発された「Xpert MTB/RIF」は、PCRベースの完全に自動化された分子診断法で、Mycobacterium tuberculosis(MTB)の感染とRIF耐性の有無を同時に検出できる。標本処理からPCRまでをCepheid社のGeneXpertシステムを用いて行うため、人手が必要なのは検査前に喀痰に試薬を加えて溶解、不活化する部分のみだ。

 今回の研究は、ペルー、アゼルバイジャン、南ア、インドで行われた。薬剤感受性結核菌または多剤耐性結核菌の肺感染が疑われる18歳以上の患者を、これら4カ国の5都市で登録し、喀痰検体を得て、登録施設から5kmの範囲内に存在するリファレンスラボで検査を行った。

 1人当たり3検体を2日以内に提供できた患者1730人を登録。2検体はN-アセチル-L-システインと水酸化ナトリウムで処理(NALC-NaOH法)してから、塗抹標本を作製して顕微鏡観察、固形培地または液体培地を用いた培養検査、Xpert MTB/RIF検査を実施した。1検体は前処理せずに直接、顕微鏡観察とXpert MTB/RIF検査に用いた。

 検査過程で問題があった患者を除く1462人を分析対象とし、これらの人々を以下の4群に分類した。塗抹陽性で培養陽性の肺結核(567人、38.8%)、塗抹陰性で培養陽性の肺結核(174人、11.9%)、培養陰性で治療なしに回復(616人、42.1%)、塗抹陰性で培養陰性だが臨床症状と胸部X線所見に基づいて結核治療を実施(臨床的な結核、105人、7.2%)。

 培養陽性の741人中207人(27.9%)が既存の薬剤感受性試験によって多剤耐性と判定された。

 標本を処理せず直接Xpert MTB/RIF検査を1回行った場合の感度は、培養陽性で塗抹陽性群では98.2%(561人中551人)、培養陽性で塗抹陰性群では72.5%(171人中124人)。一方、非感染者609人中604人はXpert MTB/RIFで陰性となり、特異度は99.2%になった。

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