良性前立腺肥大症に対する治療薬としてわが国でも承認されている5α還元酵素阻害薬のデュタステリド(参考記事)を、前立腺癌リスクの高い男性に投与すると、癌の発症リスクが下がることが示された。米Washington大学(St. Louis)のGerald L. Andriole氏らが行った4年間の多施設無作為化並行群間試験の結果で、論文は、NEJM誌2010年4月1日号に掲載された。
デュタステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する5α還元酵素の1型と2型を阻害する。同じ5α還元酵素阻害薬であるフィナステリドは2型酵素のみを阻害する。フィナステリドを前立腺癌予防に用いた臨床試験では、既に有効性が示されている。
著者らは、前立腺癌では5α還元酵素の1型の発現は上昇しているが2型の発現量には変化がない、または減少しているという報告があることから、両方を阻害できるデュタステリドの方が予防効果は高いのではないかと考えた。
そこで、デュタステリドがハイリスク男性における前立腺癌のリスクを低減できるかどうかを調べる目的で、二重盲検のReduction by Dutasteride of Prostate cancer Events(REDUCE)試験を実施した。
対象は、年齢と前立腺特異抗原(PSA)値からハイリスクと見なされる男性(50~60歳でPSA値が2.5~10.0ng/mL、60~75歳では3.0~10.0ng/mL)。このうち、登録前6カ月間に前立腺の生検(6~12標本を採取)を1回受け、陰性判定が下った人々を登録した。前立腺癌歴がある男性や、前立腺体積が80mL超、国際前立腺症状スコアが25以上の男性は除外した。
条件を満たした8231人を、無作為に、デュタステリド0.5mg/日(4105人)または偽薬(4126人)に割り付けた。対象者にはベースラインと2年後、4年後に経直腸的超音波ガイド下前立腺生検(10標本を採取)を行った。
主要エンドポイントは、2年後または4年後の生検で検出された前立腺癌に設定。
デュタステリド群の81.6%、偽薬群の84.1%は、治療開始以降に1回以上生検を受けていた。生検の96.9%は針生検だった。
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