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NEJM誌から
中国の糖尿病有病率は9.7%、糖尿病前症は15.5%
公衆衛生上深刻な問題に

 中国では、ライフスタイルの急速な変化に伴う糖尿病患者の増加が懸念されている。中国の中日友好医院のWenying Yang氏らは、中国の糖尿病有病率と糖尿病前症の有病率を推定し、公衆衛生上の大問題となっていることを明らかにした。論文は、NEJM誌2010年3月25日号に掲載された。

 これまでにも、中国において糖尿病の有病率を推定した研究は複数あった。1994年の調査時には80年時点の約3倍に増加、00~01年にはさらに倍増したことが示唆されたが、調査ごとに用いられた方法や糖尿病の定義が異なっていたため、直接比較は行えなかった。また、東洋人には、経口ブドウ糖負荷試験において2時間後血糖のみ高値を示す患者が多く存在すると報告されているが、2時間値を調べないままに行われた研究が多かった。

 そこで著者らは、信頼性の高い方法を用いて、現在の中国の成人における糖尿病有病率を調べ、関連する危険因子を明らかにしようと考えた。

 07年6月から08年5月に、中国全土で調査を実施。中国の20歳以上の国民を代表する人々を14の省と自治区から選んだ。人口統計学的特徴、医療歴、家族歴、危険因子保有の有無や、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患などの既往について尋ねた。身長、体重、血圧などを測定、さらに一晩絶食した朝食前の人々を対象に経口ブドウ糖負荷試験を行い、空腹時と2時間後の血糖値を調べた。

 必要な情報がそろっていた4万6239人を分析対象にした。

 糖尿病診断歴は自己申告に基づいて判定した。診断歴がない人々を対象とする糖尿病診断には、99年のWHOの診断基準(空腹時血糖が126mg/dL以上、2時間値が200mg/dL以上)を適用した。また、各項目は以下のように定義した。

 ・空腹時血糖高値:空腹時血糖が110mg/dL以上126mg/dL未満で負荷試験の2時間値が140mg/dL未満
 ・耐糖能異常:空腹時血糖が110mg/dL未満、負荷試験の2時間値が140mg/dL以上200mg/dL未満
 ・空腹時血糖高値で耐糖能異常:空腹時血糖が110mg/dL以上126mg/dL未満、2時間値が140mg/dL以上200mg/dL未満

 この定義を用いて、空腹時血糖高値または耐糖能異常の患者を糖尿病前症とした。

 分析対象となった人々の中で、空腹時血糖高値のみを示した男性は3.2%、女性は2.2%、耐糖能異常のみが見られた男性は11.0%、女性は10.9%、これら両方が認められた男性は1.9%、女性は1.7%だった。診断歴のない糖尿病患者は男性の6.5%、女性の5.2%、診断歴ありの糖尿病患者は男性が4.1%、女性は3.5%だった。

 年齢標準化有病率を求めたところ、糖尿病(診断歴あり+診断歴なし)は9.7%(男性が10.6%、女性が8.8%、p<0.001で性差は有意)、糖尿病前症が15.5%(男性が16.1%、女性は14.9%、p=0.08で性差は非有意)だった。

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