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NEJM誌から
国内のAED設置増により院外心停止者の生存率が上昇
2005年から3年間の前向き観察研究の結果

 日本全国で公共の場へのAED(自動体外式除細動器)の設置が増加している。日本国内における公共AED設置台数の変化と院外心停止者の生存率の関係を調べた京大保健管理センターの北村哲久氏らは、2005年からの3年間に、公共AEDを用いた一般人による電気ショックを受けた院外心停止患者が約5倍に増加し、生存患者も増加したことを明らかにした。論文は、NEJM誌2010年3月18日号に掲載された。

 これまでにも、一般人が公共AEDを用いて院外心停止者に電気ショックを与えると生存率が向上することを示した研究はあったが、いずれも狭い地域内または限られた条件下で行われていた。著者らは、公共の場にAEDを設置することによって得られる利益を、国家規模で明らかにしようと考えた。

 日本では2004年7月から、一般市民がAEDを用いて除細動を行うことが認められた。それ以降、公共の場へのAEDの設置数が増えた。

 消防庁は2005年1月から、日本全国で院外心停止を起こして救急隊員によって蘇生が試みられた患者について、「ウツタイン様式」に基づく心肺機能停止傷病者記録票を用いた情報収集を行い、連続的にデータベースに登録している。著者らは、このデータベースに登録された患者を対象に、公共AEDの設置が生存率に及ぼす影響を分析した。

 今回の集団ベースの前向き観察研究は、2005年1月1日から2007年12月31日まで行われた。この間、公共AEDの設置台数は9906台から8万8265台に増えていた。これは、国土の居住面積1km2当たり0.11台から0.97台に増加したことになる。

 公共の場に設置されたAEDは、最初の心電図分析で心室細動と判定された場合に電気ショックを与える仕組みになっているため、今回の分析対象は、心電図が心室細動を示し、心原性心停止と判定された院外心停止者で、目撃者がいた、すなわち公共AEDを用いた電気ショックが可能だった人々に限定した。

 生存した患者の神経学的障害の評価には、CPC(Cerebral Performance Categories)スケールを用いた。

 主要アウトカム評価指標は、心停止から1カ月後の時点の、神経学的障害が最小(CPCが1または2)の状態での生存率に設定した。

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