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NEJM誌から
1日3gの減塩で得られる利益は降圧薬投与に劣らない
35~84歳の米国民におけるシミュレーションの結果

 摂取塩分を減らすと高血圧と心血管疾患のリスクが下がることが明らかになっているにもかかわらず、米国民の塩分摂取は増加している。米California大学San Francisco校のKirsten Bibbins-Domingo氏が行ったシミュレーションの結果、35~84歳の米国民が1日3gの減塩に成功した場合、心血管イベントや全死因死亡のリスク低減と医療費削減における利益は明らかで、国民レベルでの禁煙や減量、コレステロール降下薬投与、降圧薬投与の利益に優るとも劣らないことを示した。詳細はNEJM誌2010年2月18日号に報告された。

 米農務省と米保健省が推奨する1日の塩分摂取量は5.8g(ナトリウムにすると2300mg)未満だ。40歳超、黒人、高血圧患者の目標値はさらに低く、3.7gに設定されている。しかし05~06年の米国人男性の塩分摂取量の平均は10.4g/日、女性は7.3g/日だった。

 著者らは、減塩は公衆衛生上重要であるはずだと考え、達成可能と考えられる最大3g/日(ナトリウム1200mgに相当)の減塩を国民が実践した場合の利益を降圧効果に基づいて推定した。

 冠疾患政策モデル(Coronary Heart Disease Policy Model)を元にシミュレーションを行った。これは、米国の35~84歳の人々の心疾患のトレンドと、リスク低減のための介入の影響を知るためのコンピュータシミュレーションモデルとして用いられている。著者らはさらに、人種別に黒人用モデルと非黒人用モデルを作成。また、冠疾患政策モデルを利用して脳卒中用のシミュレーションモデルも作成した。

 利益推定の基になる減塩の血圧への影響は、文献から情報を得た。影響が最も小さい場合の降圧レベルと、最も大きい場合の降圧レベルを決定した。また、0g/日から3g/日まで、減塩の血圧への影響は直線的と仮定し、1g/日の減塩の心血管イベントと全死因死亡への影響を評価した。

 米国民全体では、3g/日の減塩は、冠疾患の新規発症を6万件(減塩の血圧に対する影響が最も小さい場合)から12万件(影響が最も大きい場合)減らし、新規発症脳卒中を3万2000件から6万6000件減らし、心筋梗塞の新規発症または再発を5万4000件から9万9000件減らし、全死因死亡も4万4000件から9万2000件減少すると予測された。

 1g/日の減塩でも、新規発症冠疾患が2万件から4万件、新規発症脳卒中が1万1000件から2万3000件、心筋梗塞の新規発症または再発は1万8000件から3万5000件、全死因死亡は1万5000件から3万2000件減少すると推定された。

 年齢(35~44歳、45~54歳、55~64歳、65~74歳、75~84歳)、性別、黒人か非黒人かで層別化し、それぞれのグループに対する減塩の影響を調べたところ、あらゆる集団に利益が見られた。中でも、非黒人より黒人の方が利益は大きいこと、脳卒中リスクの低下は女性で大きいこと、より若い年代では減塩の主な利益が死亡リスク減少がであることが示された。

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