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NEJM誌から
低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法は神経学的異常を減らす

 新生児仮死に起因する低酸素性虚血性脳症の死亡率は高く、生存しても深刻な障害を残すことが多い。中等度の低体温療法が生後18カ月の時点の転帰を向上させられるかどうかを調べた無作為化試験の結果、死亡または重症の神経発達障害の発生率は対照群と同等だったが、神経学的異常なしに生存している小児の割合は低体温療法群で有意に高かった。英London大学のDenis V. Azzopardi氏らの報告で、詳細はNEJM誌2009年10月1日号に掲載された。

 低酸素性虚血性脳症の新生児に対する、低体温療法の有効性と安全性を調べた研究は複数あるが、いずれも統計学的パワーが十分ではなく、一貫した結果は得られておらず、現在のところ低体温療法は標準治療として推奨されていない。そこで著者らは、72時間の低体温療法の有効性を明確に示すべく、多施設無作為化試験TOBYを実施した。

 2002年12月1日から2006年11月30日まで、英国、スウェーデン、イスラエル、フィンランドの42施設で新生児を登録した。対象は、妊娠36週以降に分娩となったが、周産期の低酸素性虚血性脳症と診断された生後6時間未満の新生児で、以下の条件を満たした患者だ。

・出生後10分の時点でアプガースコアが5以下または継続的に蘇生が必要、もしくは生後60分以内にアシドーシスが見られた。
・中症から重症の脳症(嗜眠、昏迷、昏睡あり)に加えて、低血圧、反射異常(眼球運動または瞳孔反応の異常)、吸啜力が弱いか吸啜なし、痙攣発作のいずれかが見られた。
・aEEG(amplitude-integrated EEG)において痙攣または30分以上継続する背景脳波活動の異常が見られた。

 条件を満たした325人を、標準的な集中治療+低体温療法(163人)、または、集中治療のみ(162人)に割り付けた。標準治療群については、直腸温が37.0±0.2℃に保たれるよう保温した。

 冷却群の直腸温は33~34℃を目標とし、冷却ブランケットの温度を調節した。72時間後に冷却を中止し、直腸温の上昇が1時間に0.5℃以下になるよう監視しながら体温上昇を待ち、12~14時間後に37±0.2℃以下になるよう調整を行った。

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