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NEJM誌から
画像診断の多用が放射線被曝を増やしている
米国での後ろ向きコホート研究の結果

 画像診断の適用が増えるにつれて、一般集団における低線量電離放射線被曝が懸念されるようになった。米Emory大学のReza Fazel氏らは、医療保険の請求データを分析し、18~64歳の米国民では、検査による被曝レベルが自然放射線の年間被曝量とほぼ同等になっていることを明らかにした。詳細は、NEJM誌2009年8月27日号に報告された。

 実験的、疫学的研究により、検査による低線量の被曝も、固形癌や白血病の発症リスク上昇に関係することが明らかになっている。医療従事者を含む職業被曝の危険性がある人々については、実効線量は厳格に監視され制限されている。しかし、様々な画像診断を受ける患者に対する監視は十分に行われていない。

 著者らは、画像診断による被曝が国民に及ぼす影響を推定するために、後ろ向きコホート研究を行った。

 米国の大規模医療保険組織UnitedHealthcareがカバーする5地域(アリゾナ、ダラス、オーランド、南フロリダ、ウィスコンシン)の18~64歳の加入者を分析対象とした。2005年1月1日から2007年12月31日に加入していた95万人超の保険請求情報から情報を抽出。

 治療用の放射線照射は除外し、画像診断にかかわる放射線被曝のデータを入手した。用いられた画像診断法を単純X線撮影、CT、X線透視撮影(血管造影を含む)、核医学イメージングに分類、解剖学的な被曝部位は、胸部(心臓イメージングを含む)、腹部、骨盤、四肢、頭頸部(脳のイメージングを含む)、複数の部位(全身のスキャンニングを含む)、不明に分類し、画像診断1回当たりの被曝量を文献に基づいて推定した。これを基に、画像診断による累積実効線量を推定、集団ベースの被曝率も求めた。

 年間実効線量に基づいて、患者を、低レベル(3ミリシーベルト〔mSv〕以下:自然放射線の年間被曝量以下)、中レベル(3mSv超で20mSv以下:職業被曝において5年間の年間平均値の上限がこのレベルと定められている)、高レベル(20mSv超で50mSv以下:職業被曝において1年間の上限に設定されている)、非常に高い(50mSv超)に層別化した。

 3年間に、95万2420人(平均年齢35.6歳、52.4%が女性)のうち65万5613人(68.8%)が、被曝を伴う画像診断を1回以上受けていた。1人当たりにすると平均1.2±1.8回/年で、中央値は0.7回/年、四分位範囲は0.0~1.7となった。累積実効線量の平均(±SD)は、1人当たり年間2.4±6.0mSvだったが、分布の幅は広く、実効線量の中央値は1人当たり年間0.1mSv(四分位範囲0.0~1.7)だった。

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