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NEJM誌から
1型患者へのRA系阻害薬早期投与は腎症進行に影響せず
網膜症の進行は60%以上抑制

 1型糖尿病患者にとって、腎症網膜症は重大な合併症だ。レニン-アンジオテンシン(RA)系を阻害する薬剤を早い段階から投与すれば、これら合併症の進行を遅らせることができるのではないかと考えた米国Minnesota大学のMichael Mauer氏らは、血圧と尿中アルブミン排泄量が正常な患者を対象に、5年間の無作為化試験を実施した。この結果、介入は腎症の進行には影響を与えないものの、網膜症の進行は遅らせることが明らかとなった。詳細は、NEJM誌2009年7月2日号に報告された。

 既に糖尿病性腎症を発症している2型糖尿病患者においては、RA系阻害薬の腎症進行抑制効果は、ほかの降圧薬より高いと報告されている。著者らは、アルブミン尿が現れる前の1型糖尿病患者に、RA系阻害薬を投与することにより、糖尿病性腎症に見られる組織学的な病変の進行を遅らせることができるかどうかを評価する目的で、多施設無作為化比較試験を行った。

 1型糖尿病で血圧と尿中アルブミン排泄量が正常な患者285人を登録。二重盲検法により、無作為に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のロサルタン(100mg/日、96人)、または、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬のエナラプリル(20mg/日、94人)、偽薬(95人)のいずれかに割り付け、5年間追跡した。用量は途中で2倍量に変更。2倍量を使用した期間の平均は2.9年だった。

 除外条件は、高血圧、ランイン期間の服薬遵守率が85%未満、など。

 主要エンドポイントは、腎生検標本の糸球体内にメサンギウム細胞が占める体積の変化に設定。体積の変化は主にメサンギウム基量の変化を反映する。2次エンドポイントは、糸球体、血管、細尿管、間質の変化と、アルブミン排泄率、糸球体濾過量(GFR)に設定した。

 網膜症に関する主要エンドポイントは、網膜症重症度スケール(ETDRSスケール)の2段階以上の悪化に設定した。ETDRSスケールは、7フィールドステレオ眼底撮影に基づいて網膜症の程度を判定するもので、数値が増えるほど重症度は高い。レベル10は網膜症なし、レベル20は細動脈瘤のみ、レベル35は軽度非増殖性糖尿病性網膜症、レベル43は中等度非増殖性糖尿病性網膜症、47は中等度の重症非増殖性糖尿病網膜症、53は重症非増殖性糖尿病性網膜症、61、65、71、75、81は増殖性の網膜症と判断される。

 分析は、線形回帰モデルとロジスティック回帰モデルを用いてIntention-to-treatで行った。

 5年間の3群のHbA1c値に差はなかった(p=0.54)。インスリンの用量にも差はなかった(p=0.29)。収縮期血圧と拡張期血圧は、偽薬群に比べ、エナラプリル群、ロサルタン群で有意に低かった。

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