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NEJM誌から
妊娠初期のメトクロプラミド投与は安全
先天性奇形、低出生体重、周産期死亡の有意な増加見られず

 妊娠初期には妊婦の50~80%が悪心と嘔吐を経験する。欧州の一部やイスラエルでは、ドパミン受容体拮抗薬のメトクロプラミドが制吐薬として投与されるが、妊婦と胎児に対する安全性は十分に検証されていなかった。イスラエルBen-Gurion大学のIlan Matok氏らは、大規模コホート研究を行い、妊娠初期の投与が胎児に悪影響を及ぼさないことを明らかにした。詳細は、NEJM誌2009年6月11日号に報告された。

 米国とカナダでは、妊婦に対する制吐薬としてピリドキシン(ビタミンB6)とドキシラミン(抗ヒスタミン薬)が用いられており、最も重症な症例にのみメトクロプラミドが投与される。

 一方、欧州の一部とイスラエルでは主にメトクロプラミドが妊婦に投与されているが、この薬剤の適応症には妊娠中の悪心と嘔吐は含まれておらず、妊婦に対する安全性に関する評価は十分に行われていなかった。

 そこで著者らは大規模コホートを対象に、妊娠初期(13週まで)のメトクロプラミド曝露が胎児に及ぼす影響を調べる後ろ向き研究を行った。

 イスラエルの公的保険基金Clalit Health Serviceに登録されている、イスラエル南部のBeer-Sheva地区在住の女性を対象とした。

 Clalit Health Serviceのデータベースに1998年1月1日から2007年3月31日までに登録された情報(臨床情報、投薬情報、人口統計学的データ)と、同じ時期にこの地区にあるSoroka医療センター(この地区の出産の98%を扱う)のデータベースに登録された妊婦と新生児の入院記録を関連付けることによって、妊婦へのメトクロプラミド投与と胎児に見られた有害事象の関係を評価した。

 生産児と死産児の両方について、軽症と重症の先天性奇形、周産期死亡、早期産(37週未満の死亡)、低出生体重(2500g未満)、超低出生体重(1500g未満)、アプガースコアが7以下(1分後と5分後)といったイベントの有無を調べた。

 軽症と重症の奇形の定義は、米CDCのMetropolitan Atlanta Congenital Defects Programが作成したものを利用した。重症の奇形は、生存を脅かすもの、多くの治療が必要になるもの、生理的または精神的な障害が顕著なものとした。染色体異常は除いた。重症の奇形は、さらに神経系の異常、眼の異常、耳の異常、顔面と頸部の異常、心臓の異常、呼吸器系の異常、生殖器の異常などのサブクラスに分類した。

 交絡因子候補として、出産経験、母親の年齢、人種、糖尿病の有無、喫煙の有無、周産期の38度以上の発熱の有無に関する情報を得た。

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