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NEJM誌から
バルサルタンに心房細動の再発予防効果は見られず
約1400人を対象にしたGISSI-AF試験の結果

 心房細動に対する標準治療を受けている患者にARBを追加投与すると、心房細動の再発を抑制できるのではないだろうか――。そうした仮定の下行われた二重盲検の無作為化試験で、ARBのバルサルタンを投与しても、偽薬群に比べ有意な再発リスク低減は認められない、という結果が得られた。イタリアSanta Chiara病院に所属するMarcello Disertori氏らが、詳細をNEJM誌2009年4月16日号に報告した。

 心房細動は不整脈の中で最も多く見られるが、薬物療法によって十分に管理することは難しい。

 近年、除細動後の心房細動再発には心房のリモデリングが関係する可能性が示されている。リモデリングとは、心房組織の電気的、機械的、構造的な性質が進行性かつ非可逆的に変化することを言う。この変化が心房細動の再発を起こりやすくすると考えられている。

 心房のリモデリングにはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が役割を果たすことが示されており、動物モデルでは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が、電気的、構造的なリモデリングに対して好ましい影響を及ぼすことが示されている。しかし、心房細動に対するACE阻害薬またはARBの作用の評価を目的として行われた質の高い臨床研究はこれまでなかった。

 著者らは、心房細動歴があり、心血管疾患、糖尿病、または左房拡大が認められる患者に、標準治療に加えてARBのバルサルタンを投与すると、心房細動の再発が抑制できると仮定。これを検証するため二重盲検の大規模無作為化多施設試験GISSI-AFを実施した。

 2004年11月から07年1月まで、114カ所の医療機関で40歳以上の男女を登録。6カ月以内に2回以上の症候性心房細動が記録されている、または2週間以内に電気的または薬物学的除細動を受けており、割り付け前の少なくとも2日間は洞調律が見られた患者のうち、以下の条件を一つ以上満たす人々を選んだ:心不全または左室機能不全(左室駆出分画が40%未満)、6カ月以上の高血圧、2型糖尿病、脳卒中または末梢血管疾患、冠疾患、心血管疾患の併存はないが左房拡大がある(左房径が男性で45mm以上、女性で40mm以上)。

 条件を満たした1442人を、無作為にバルサルタン(722人、平均年齢67.5歳、女性が37.0%)または偽薬(720人、68.2歳、38.5%)に割り付けた。バルサルタンは、開始用量を80mg/日とし、2週後に160mg/日、4週後に320mg/日に増量し、52週まで投与を継続した。2カ月以内に160mg/日まで増量できなかった患者5人については投与を中止した。4週の時点で83.1%の患者が320mg/日の投与を受けていた。

 試験期間中も、ACE阻害薬、アミオダロン、β遮断薬を含む処方薬の使用継続を許可した。割り付け時にアミオダロンを使用していた患者は34.7%、ACE阻害薬使用者は57.0%、β遮断薬は30.2%だった。

 全員に、伝送型イベント心電計Cardiobios 1(Telbios社製)を提供し、週1回以上、また症状が現れた時点で、30秒間の心電図を送信するよう指示した。

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