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NEJM誌から
「トリプル再集合体ウイルス」のヒト感染は4年前から散発
2005年以降の米国での感染者11人の特徴を分析

 2009年4月以前は、ブタインフルエンザのヒト-ヒト感染は非常に限られており、感染が続くことはなかった。しかし、ヒト、トリ、ブタのH1ウイルスの再集合体にブタから感染した患者の報告は、近年散発的に見られていた。米CDCのVivek Shinde氏らは、そうした患者11人の臨床的、疫学的特徴をNEJM誌電子版に2009年5月7日に報告した。約半数がブタに直接触れておらず、潜伏期間は約3.5日で、通常のインフルエンザには見られない下痢などの症状が一部の患者に見られたという。

 ブタは、ヒトとトリのインフルエンザに感染するため、それらの遺伝子が再集合した新型インフルエンザウイルスの出現に場所を提供すると考えられている。

 1930年代から1990年代の間は、ブタから主に検出されるインフルエンザウイルスは古典的ブタA型インフルエンザウイルス(H1N1)で、状況はほとんど変化しなかった。ところが北米では、1990年代の終わりに、様々な株と亜型(H1N1、H3N2、H1N2)のウイルスが、ヒト型、トリ型、ブタ型のH1インフルエンザウイルスの遺伝子再集合体(トリプル再集合体ウイルス)となって家畜ブタに感染していった。

 古典的なブタインフルエンザに感染した患者の報告は、過去35年間に全世界で50例以上あった。それらの患者に見られる症状はしばしば、ヒトのインフルエンザと区別できなかった。

 CDCが米国内におけるトリプル再集合体ウイルスのヒトへの感染に関する情報を初めて得たのは2005年12月だった。それ以降09年2月までに、トリプル再集合体ウイルスの感染例の報告が計11件あった。8件は07年6月以降に発生していた。

 トリプル再集合体ウイルスの感染であることはCDCが確認し、標準的なサーべイランス報告の形式でその都度ウエブサイトに提示されている。

 著者らは、05年12月~09年2月(今回のH1N1感染が広まる直前)に散発的に発生したヒトへのトリプル再集合体H1ウイルス感染の11例について臨床的な特徴を調べた。

 すべての患者から呼吸器検体が採取され、各州の公衆衛生ラボに送られていた。通常のPCR検査が行われ、1人を除く全員が当初は、A型インフルエンザ感染だが亜型は不明との判断を受けた。そこでCDCがウイルスゲノムの塩基配列を決定し、ブタインフルエンザの感染であることを確認。リアルタイムRT-PCRとヘマグルチニン阻害試験により亜型を判定している。

 今回利用したデータは、通常の全米インフルエンザ監視報告と、公衆衛生当局/動物衛生当局の合同症例研究の報告から得た。

 11人の患者の年齢の中央値は10歳(生後16カ月から48歳)で、8人が18歳未満だった。7人が男性。患者は全員が回復している。報告があった月は、8月が4人、11月と1月がそれぞれ2人、10月、12月、2月がそれぞれ1人だった。

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