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NEJM誌から
米国の新型確定例381人の臨床情報を緊急公開
25%に消化器症状、タミフルとリレンザには感受性

 2009年4月15日から5月5日までの間に、新型ブタ由来A型インフルエンザH1N1)ウイルス(swine-origin influenza A H1N1 virus:S-OIV)の感染確定例が米国内41州で642人同定された。Novel Swine-Origin Influenza A (H1N1) Virus Investigation Teamのメンバーである米国CDCのFatimah S. Dawood氏らは、5月7日、最初の患者発生からの経緯と確定例の症状の特徴を概説した論文をNEJM誌電子版に発表した。

 米国では1998年以降に、ブタからトリプル再集合体ウイルス(ヒト型、トリ型、ブタ型のH1インフルエンザウイルスの遺伝子再集合体)が検出されている。ヒトへの感染は2005~09年に11症例報告がある(同号掲載の別の論文を参照)。

 ところが、4月15日と17日に疫学的に関連のない2人の患者標本から同定されたインフルエンザウイルスは、それまでとは異なるブタ由来A型ウイルスだった。

 CDCは臨床医に向けて勧告を発表。条件(確定例の居住区域に住む/確定例の居住区域への旅行歴がある/発症前7日間にそれらの地域の病人と接触した)のいずれかを満たす発熱性呼吸器疾患の患者についてS-OIVを疑うよう注意喚起した。

 S-OIVの可能性があると判断した場合には、鼻咽頭スワブを採取し、州または地域の当局を介して州公衆衛生局にRT-PCRによる分析を依頼する。ここでA型だが亜型が判定できないものについて、CDCに標本を送り確定検査を受けるとした。

 患者1は、カリフォルニア州サンディエゴ郡に住む喘息がある10歳の少年だった。3月30日に発熱、咳、嘔吐を示し、4月1日に救急医療クリニックを訪れて症状に対する治療を受けた。患者は約1週間で回復した。

 検査の結果、A型インフルエンザ陽性だったが亜型は判定できなかった。患者に適用されたのが臨床試験段階の診断キットだったため、試験のプロトコルに基づき、標本は参照ラボに送られた。RT-PCR検査で、A型インフルエンザは陽性、ヒトH1、ヒトH3は陰性という結果になり、標本はCDCに送られた。

 4月15日、CDCはこのウイルスがブタ由来の新たなH1N1であることを発見、同日中にカリフォルニア州公衆衛生局に通告した。これを受けて現地で疫学的な調査が始まった。

 患者2は、カリフォルニア州インペリアル郡に住む9歳の少女で、患者1との間に疫学的関係はなかった。3月28日に咳と発熱を示した。2日後、患者はインフルエンザサーべイランスプロジェクトに参加しているクリニックの外来を受診し、アモキシシリン-クラブラン酸の合剤を投与された。患者はその後回復した。

 鼻咽頭スワブは当初サンディエゴの海軍衛生研究センターに送られたが亜型の判別ができず、結局CDCに送付され、4月17日にブタ由来のH1N1であることが明らかになった。ウイルスのジェノタイプは患者1から得られたものと類似していた。CDCは4月17日にこれら2例をWHOに報告した。

 患者1、患者2のいずれも、発症前にブタとの接触歴はなかった。

 その後、これらの患者から見付かったものと同じウイルスが、メキシコ、カナダ、その他の国で検出された。

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