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NEJM誌から
厳格な血糖管理はICU入院患者の死亡率を高める
約6000人を対象とした無作為化試験の結果

 ICU入院患者にはしばしば高血糖が見られるが、血糖管理の目標域は明らかになっていない。NICE-SUGAR研究グループに所属するオーストラリアGeorge Institute for International HealthのSimon Finfer氏らは、ICU入院患者の血糖値を厳格に管理すると90日以内の死亡率が14%上昇すること、したがって厳格な血糖管理は推奨されないことを明らかにした。詳細は、NEJM誌2009年3月26日号に報告された。

 重症の高血糖は様々な病気の患者の死亡率を高めることから、これまで、厳格な血糖管理の効果を調べる研究が複数行われたが、一貫した結果は得られていない。現状では、厳格な血糖管理の効果を期待してこれを行う治療者が存在する一方で、重症の低血糖が発生するリスクが懸念されること、重症患者の血糖値を正常域まで下げることが困難であることなどが歯止めとなって、広範な適用には至っていない。

 著者らは、ICU入院患者を対象に、血糖の厳格な管理と通常管理の影響を比較する多施設無作為化試験を2004年12月から08年11月まで行った。

 42カ所の病院で、ICUに入院してから24時間以内で3日以上の入院が必要と予想された患者6104人を登録。無作為に血糖値の厳格な管理(目標域を81~108mg/dLに設定)と通常管理(目標域を180mg/dL以下に設定)に割り付けた。

 ベースラインで人口統計学的データや臨床所見、APACHE IIスコア(ICU入院患者の重症度評価指標で、スコアは0から71の範囲。数値が高いほど重症)などの情報を収集した。

 血糖管理はインスリンの静注により行った。通常管理群では、血糖値が180mg/dLを超えた時点でインスリンの投与を開始し、144mg/dL未満になった時点で投与を中止した。介入は、患者が食事可能になるまで、またはICUを退院するまで継続。90日以内にICUに再入院した場合には介入を再開した。

 厳格管理群3054人(平均年齢60.4歳)と通常管理群3050人(59.9歳)のうち、データが得られたのは3016人と3014人。これらの87.5%はオーストラリアまたはニュージーランドで登録された患者だった。

 何らかの理由でインスリン投与が早期に中止された患者がそれぞれ10.0%と7.4%いた。

 主要エンドポイントは、割り付けから90日以内の全死因死亡に設定。2次エンドポイントは、割り付けから90日までの生存期間、死因別死亡数、機械的換気を要した日数、腎代償療法を要した日数、ICU入院期間、全入院期間などとし、それ以外に、死亡した場所(ICU、一般病棟、その他)、輸血の必要性などについても調べた。

 主要アウトカムの評価に当たっては、以下の6つのサブグループ間の比較も行った。外科の患者(手術後ICUに入院または回復室からICU入院となった患者)と内科の患者(手術は受けていない患者)、糖尿病患者と非糖尿病患者、外傷患者と非外傷患者、重症敗血症のある患者とない患者、ステロイド投与を受けた患者と受けなかった患者、APACHE IIスコアが25超の患者と25未満の患者。

 分析はすべてintention-to-treatで行った。

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