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NEJM誌から
PSA検診は前立腺癌死亡を減らさない
米国で行われたPLCO試験の7~10年の結果

 前立腺特異抗原PSA)検査、直腸診、その他の方法による前立腺癌スクリーニングの利益は未だ明確になっていない。米国Washington大学医学部のGerald L. Andriole氏らは、スクリーニングの前立腺癌死亡に対する影響を明らかにするためにPLCO試験を進めている。NEJM誌2009年3月26日号に報告された、登録から7~10年の時点の分析結果は、スクリーニングが前立腺癌死亡率の低減をもたらさないことを示した。

 PSA値を指標とする前立腺癌スクリーニングの利益を調べた研究では、一貫した結果が得られていない。にもかかわらず、米国をはじめとする複数の国で、スクリーニングが行われている。

 スクリーニングのリスクと利益を判定するための質の高い無作為化試験が必要、という声に応えるべく現在米国で行われているのが、Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian (PLCO) Cancer Screening Trialだ。欧州でも、同様の目的を掲げたERSPC(European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer)試験が進行中だ(同号掲載のERSPC試験の結果はこちら、関連エディトリアルはこちら)。

 PLCO試験では、前立腺癌スクリーニングが及ぼす様々な影響に関する評価が引き続き行われているが、今回は、登録から7~10年の前立腺癌罹患率、診断時の病期、死亡率などに関するデータが公表された。

 分析の対象となったのは、1993~2001年に米国内10カ所の医療施設で登録された、55~74歳で、前立腺癌、肺癌、結腸癌の既往がない健康な男性7万6693人。これらの男性は、無作為に年1回のスクリーニング(3万8343人)または通常のケア(3万8350人)に割り付けられた。

 スクリーニング群はベースラインから計6回、年1回のPSA検査と、計4回、年1回の直腸診を受けた。PSA値が4.0ng/mLを超えると陽性と判定した。検査を受けた男性と担当医が、検査結果を基にその後の方針を決定した。

 通常ケア群にも、スクリーニングの受検は認めた。

 約44%の男性が登録前に1回以上PSA検査を受けた経験を持っていた。

 ベースラインで最初のスクリーニングを行ったため、PSA検査の最終回は5年時に終了。7年時はスクリーニング終了から2年後となる。

 7年時に生死が明らかだった登録者は98%、10年の時点では67%(23%の登録者については10年間の追跡が予定されていなかった)。追跡期間の中央値は11.5年だった。

 スクリーニング群では、PSA検査のコンプライアンスが85%、直腸診は86%。一方、対照群でも、PSA検査の受検率は登録年度が40%、5年目には52%に上昇していた。同様に、直腸診の受検率も41%から46%に上昇した。

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