日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
PSA検診は前立腺癌死亡を減らす
欧州で行われたERSPC試験の9年の結果

 前立腺特異抗原PSA)による早期前立腺癌のスクリーニングを受けると、前立腺癌による死亡リスクは減るのだろうか。欧州7カ国で行われたERSPC(European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer)試験の結果、PSA検査によるスクリーニングを受けたグループでは、スクリーニングを受けなかったグループよりも前立腺癌死亡リスクが20%低いという分析結果が得られた。

 ただし、前立腺癌死亡を1件回避するためには、スクリーニングを受けなければ前立腺癌は発見されなかったであろう48人が治療を受ける必要があるという。詳細は、オランダErasmus Medical CenterのFritz H. Schroder氏らが、NEJM誌2009年3月26日号に報告した。なお、同号には、PSA検診に関する相反する結果が得られた米国での大規模試験PLCOの結果(こちら)も同時掲載されている(関連エディトリアルはこちら)。

 ERSPCは、「PSA検査に基づくスクリーニングは前立腺癌死亡を25%減らせるかどうか」を評価するために、1990年代初めに開始された。

 試験には、フィンランド、スウェーデン、イタリア、オランダ、ベルギー、スイス、スペイン、ポルトガル、フランスが参加したが、ポルトガルとフランスについては追跡期間が他国と違うため、今回の分析対象からは除外されている。

 50~74歳の男性約18万2000人(平均年齢60.8歳)を登録、無作為に、PSA検査を受けるスクリーニング群(8万2816人)または検査を受けない対照群(9万9184人)に割り付けた。中心となるコア年齢層は55~69歳で、この年齢層では、7万2890人がスクリーニング群に、8万9353人が対照群に割り付けられた。

 PSA検査は、7カ国中6カ国で基本的に4年に1回実施。スウェーデンのみ2年に1回行っていた。

 国によってカットオフ値は異なっていたが、3.0ng/mLとする施設が多かった。当初は10ng/mLを使用していた国もあった。一方で、2.5ng/mL以上で直腸診や経直腸超音波検査を勧める国や、一時的にPSA検査と直腸診、超音波検査を組み合わせてスクリーニングを行っていた国もあった。PSA検査で陽性となった男性には、それぞれの国の標準的な方法で生検、診断、治療を実施した。

 主要アウトカム評価指標は前立腺癌死亡率に設定。今回はコア年齢層の患者を分析対象とした。

 死亡に関する追跡は2006年12月31日まで行った。追跡期間の中央値はスクリーニング群8.8年、対照群9.0年だった。

 スクリーニング群では、82%が1回以上PSA検査を受けていた。試験期間中に行われたPSA検査は12万6462件で、検査を実際に受けたスクリーニング群の男性(per-protocol集団)に限定しても、受検回数は1人当たり平均2.1回だった。

 全体では16.2%がPSA陽性と判定された。陽性者の85.8%に生検が行われた。

この記事を読んでいる人におすすめ