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NEJM誌から
重症冠動脈疾患には薬剤溶出ステントよりCABG
欧米17カ国で行われたSYNTAX試験の結果

 重症の冠動脈疾患を示す患者を対象に、薬剤溶出ステントDES)を用いた経皮的冠動脈インターベンションPCI)と冠動脈バイパス術CABG)のアウトカムを比較したSYNTAX試験で、CABGの方が複合有害イベント(全死因死亡、脳卒中、心筋梗塞、血行再建術再施行)の発生率が低いことが明らかになった。オランダErasmus医療センターのPatrick W. Serruys氏らが、NEJM誌2009年3月5日号に報告した。

 近年、複雑な冠動脈病変へのDES使用PCIの適用が増えている。しかし、現行のガイドラインは、左冠動脈主幹部に病変がある、または3枝病変を有するような重症の冠動脈疾患の患者にはCABGの選択を勧めている。

 これまで、多枝病変を対象にベアメタルステントを用いたPCIとCABGを比較した臨床試験は、複数行われてきた。しかし、DES使用PCIとCABGを比較した試験は、概して小規模で無作為化されていなかった。したがって、増加しているPCI適用は、エビデンスに基づくものとは言えない。

 エビデンスの確立を目指して行われたSYNTAXは、重症冠疾患患者を対象にDES使用PCIとCABGを比較する非劣性試験の設計になっていた。

 欧米17カ国の85医療機関で、2005年3月から07年4月に、治療歴のない3枝病変または左冠動脈主幹部病変(単独または1枝、2枝、3枝病変が併存)の患者をスクリーニングした。

 3075人が条件を満たした。専門医により、PCIとCABGのどちらを適用しても同等の血行再建が可能と判定された患者1800人を、無作為化試験の対象者として順番に登録した。

 専門医がいずれか一方の選択が適切と判定した1275人も並行して登録し、1077人にCABG、198人にPCIを適用した。これらの患者についても、それぞれの治療のアウトカムを評価するために追跡を行った(今回の報告にはこちらのグループのデータは含まれていない)。

 1800人をCABG(897人、平均年齢65.0歳)またはPCI(903人、65.2歳)に無作為に割り付けた。245人は米国で、1555人は欧州で治療を受けた。

 非劣性比較試験の主要アウトカム評価指標は、割り付けから12カ月間の主要な有害心イベントまたは心血管イベントを合わせた複合イベント(全死因死亡、脳卒中、心筋梗塞、血行再建術の再施行)に設定された。非劣勢のマージンは95%片側信頼区間の上限値が6.6%未満とした。分析はintention-to-treatで行った。

 両群間の治療前の患者特性にはほとんど差がなかった。

 1800人のうち、左冠動脈主幹部病変が見られたのは、PCI群の39.5%とCABG群の38.8%。

 患者1人当たり約4カ所の病変を治療した。平均はPCI群4.3カ所、CABG群は4.4カ所だった。

 SYNTAXスコア(この臨床試験で得られたデータを基に作製された病変部の複雑度を示すスコア。病変数、病変部位、石灰化、血栓など9要素から計算される。スコアが高いほど冠動脈病変は複雑)の平均は、CABG群が29.1、PCI群は28.4だった(p=0.19)。

 治療後の入院日数は、CABG群で有意に長かった(9.5日と3.4日、p<0.001)。 

 完全血行再建が達成された患者の割合はCABG群で有意に高かった(63.2%と56.7%、p=0.005)。

 ほとんどの施設でPCI群にはチエノピリジンが6カ月超投与されており、12カ月の時点でも71.1%の患者が使用を継続していた。

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