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NEJM誌から
非定型抗精神病薬も心臓突然死リスクを高める
定型抗精神病薬と同様に、リスクは非使用者の約2倍

 定型抗精神病薬が、重篤な心室性不整脈と心臓突然死のリスクを用量依存的に高めることは知られている。だが、より安全と考えられていた非定型薬も、定型薬と同様に、心臓突然死のリスクを約2倍に高めることが、後ろ向きコホート研究で明らかになった。米国Vanderbilt大学のWayne A. Ray氏らが、NEJM誌2009年1月15日号に報告した。

 非定型抗精神病薬は、定型抗精神病薬の代わりに日常診療で広く用いられてるようになっている。にもかかわらず、心臓に対する安全性については十分な情報がなかった。そこで著者らは、テネシー州のメディケイド加入者を対象とする後ろ向きコホート研究を行い、抗精神病薬の現在の使用者の心臓突然死のリスクを非使用者と比較した。

 研究期間は、1990年1月から2005年12月まで。対象者の年齢は30~74歳とした。

 一次コホートは、定型薬を単剤で使用していた4万4218人と、非定型薬を単剤使用していた4万6089人、それらの患者と年齢、性別、追跡開始日がマッチする抗精神病薬非使用者18万6600人とし、情報を抽出した。

 二次分析として、傾向スコアがマッチする使用者と非使用者(たとえば、抗精神病薬使用者になる可能性が同等:精神的な症状による入院歴、双極性障害の診断歴、リチウム治療歴などを指標とする)の比較も行った。使用者は、ベースラインで統合失調症または関連する精神疾患と診断されていなかった患者とした。

 統合失調症を除外した理由は、同疾患では既に非定型抗精神病薬が標準治療になっているため。これにより、分析対象の中心は、他の治療薬の選択も可能だが定型または非定型薬が広く用いられる気分障害の患者となった。傾向スコアがマッチした使用群6万7824人と非使用者11万6069人を二次コホートとした。

 主要エンドポイントは、院外での心臓突然死に設定された。

 一次コホートの人口統計学的特性は、ベースラインで同様だった。平均年齢は45.7歳、65.2%が女性、70.5%が白人だった。

 104万2159人-年の追跡で、心臓突然死は1870件発生していた。

 非定型抗精神病薬の現在の使用者の心臓突然死リスクは、非使用者に比べ高かった。調整発生率比は、定型薬使用群が1.99(95%信頼区間1.68-2.34)、非定型薬使用群は2.26(1.88-2.72)。

 非定型薬群を定型薬群と比較した発生率比は1.14(0.93-1.39)で、抗精神病薬使用群間の比較は有意な差を示さなかった。

 過去の使用者の場合には、非使用者と比較しても有意なリスク上昇は見られなかった(発生率比は1.13、0.98-1.30)。

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