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NEJM誌から
管理不良の糖尿病患者に厳格な血糖管理は有効か?
2型糖尿病患者1791人を対象としたVADT試験の結果

 2型糖尿病の罹病期間が長く、最大用量の糖尿病治療薬を用いてもなお血糖管理不良の患者に厳格な血糖管理を行った場合、心血管リスクは減少するか――。

 この疑問を検証すべく無作為化試験を行った米国アリゾナ州のPhoenix Veterans Affairs Health Care CenterのWilliam Duckworth氏らは、心血管危険因子の管理が同等に行われた集団では、標準的な血糖管理を行っても厳格な血糖管理を行っても、心血管リスクへの影響は変わらないことを示した。詳細は、NEJM誌2009年1月8日号に報告された。

 厳格な血糖管理が2型糖尿病患者の微小血管疾患の進行を遅らせることを示した研究は複数ある。しかし、大血管合併症に対する厳格な血糖管理の効果については、一貫した結果は得られていない。

 先ごろ行われたADVANCE試験ACCORD試験は、厳格な血糖管理による心血管リスク低減を示せなかった(関連記事1関連記事2参照)。ACCORD試験では、厳格管理群に死亡リスク上昇が見られている。

 今回のVADT(Veterans Affairs Diabetes Trial)試験の主な目的は、2型糖尿病歴の長い、管理不良の患者を対象に、心血管イベントに対する血糖厳格管理と標準管理の影響を比較することにあった。

 2000年12月1日から2003年5月30日に、最大用量の経口糖尿病治療薬またはインスリン治療に適切に反応しない2型糖尿病の退役軍人(平均年齢60.4歳、BMIの平均は31.3)計1791人を登録。無作為に、厳格な血糖管理(892人)と標準的な血糖管理(899人)のいずれかに割り付けた。

 除外条件は、HbA1c値が7.5%未満、6カ月以内に心血管イベントを経験、BMIが40超など。

 登録された患者の糖尿病歴は平均11.5年で、40%の患者が既に心血管イベントを経験していた。微小血管合併症歴ありが62%だった。血圧が140/90mmHg以上の高血圧患者が72%を占めた。ベースラインで52%の患者がインスリンを使用していた。

 血糖の厳格な管理は、標準管理群と比較したHbA1c値の絶対差を1.5パーセンテージポイントとすることを目指した。

 割り付け後、厳格管理、標準管理共に、BMIが27以上の患者についてはメトホルミンとロシグリタゾンを併用、BMIが27未満の患者はグリメピリドとロシグリタゾンを併用する治療を開始。開始用量は、厳格管理群は最大用量、標準管理群はその半量とした。

 治療を継続してもHbA1c値が下がらない(厳格管理群は6%未満、標準管理群は9%未満にならない)患者には、インスリンを追加。その後の治療レジメンの変更は、プロトコールのガイドラインに基づき、研究者の判断で行うこととした。

 その他の心血管危険因子に対する治療は、両群とも同様に行った。

 主要アウトカム評価指標は、割り付け後、初の主要な心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡、うっ血性心不全、血管疾患に対する外科治療、手術不能の冠疾患、虚血性壊疽に対する四肢切断)に設定。


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