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NEJM誌から
ビスホスホネートは破骨細胞の数を減らさない
破骨細胞の活性とライフサイクルを変化させて骨吸収を抑制か

 骨粗鬆症の治療に広く用いられている、ビスホスホネート(BP)製剤。この製剤が骨吸収を抑制する作用機序はこれまで明らかでなかったが、米国University of Arkansas for Medical SciencesのRobert S. Weinstein氏らは、BP製剤の骨吸収阻害作用は、破骨細胞の数の減少によってもたらされているのではないことを示した。詳細は、NEJM誌2009年1月1日号に報告された。

 これまで、BP製剤は破骨細胞にアポトーシスを誘導し、死に向かう細胞は食細胞により速やかに処理され、結果として破骨細胞の数が減少すると考えられていた。

 ところが、近年、窒素を含むビスホスホネート製剤の投与を受けた患者に由来する海綿骨標本において、破骨細胞の数には全くと言っていいほど変化がない、という予想に反する結果が報告された。

 これに対し、「健康人の破骨細胞は海綿骨の骨梁辺縁にはわずか(1%未満)しか存在しないため、数の変化が検出しにくいのではないか」という考えや、「ビスホスホネートの効果は海綿骨より皮質骨でより大きい」といった仮説が提示されてきた。

 著者らは、in vitro研究や動物実験の結果を参考にして、窒素原子含有ビスホスホネート製剤は、海綿骨の破骨細胞の数を減らすことなく骨吸収を阻害するのではないかと考えた。そこで、アレンドロネートの臨床試験に参加した閉経女性から採取された骨標本を用いて、非脱灰断面を組織学的骨形態計測法により評価することにより、アレンドロネートの作用機序を明らかにしようと試みた。

 この臨床試験は、40~59歳の健康な閉経女性に、骨吸収抑制を目的として経口アレンドロネートを3年間(1994~1997年)投与した二重盲検無作為化試験。この試験で著者らは、アレンドロネートが骨代謝を抑制し、骨密度を高めることを示している。

 登録された患者は、無作為に、偽薬、アレンドロネート1mg/日、5mg/日、10mg/日のいずれかを3年間、またはアレンドロネート20mg/日を2年間+偽薬を1年間、の5群に割り付けられた。

 447人の登録患者のうち、55人が腸骨生検を受けた。直径7mmの標本の中に、皮質骨に挟まれた海綿骨が認められた51標本を今回の分析対象にした。

 骨生検標本は24時間以内にホルマリン固定し、異なる深さから5μm厚の切片を得て、Masson染色で破骨細胞の観察を行った。

 著者らは最初に、組織形態計測法を用いて1年当たりの骨形成の速度を調べた。アレンドロネート1mg群、5mg群、10mg群の骨形成の速度は同等で、偽薬群に比べて有意に減少していた(いずれもp<0.003)。

 だが、20mg+偽薬群では、3年の時点の骨形成速度は偽薬群と同等だった。この結果は、投与中止1年後には、アレンドロネートの抗リモデリング作用は認められないことを意味する。

 次に、破骨細胞の数を調べたところ、偽薬群と、アレンドロネート1mg群、5mg群、20mg+偽薬群の間に有意差はなかった。ただし、10mg群でのみ偽薬群の2.6倍に増加していた(p<0.01)。破骨細胞の総数と3年間のアレンドロネート累積投与量は正の相関を示した(相関係数r=0.50、p<0.001)。

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