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NEJM誌から
64列MDCTによる冠動脈造影は従来型冠動脈造影と同等か?
閉塞の有無や重症度の評価では両者に差なし

 多列検出器コンピュータ断層撮影(MDCT)は、非侵襲的な血管造影法として普及しつつある。しかし、その有用性を従来型の冠動脈造影と比較した質の高い研究はなかった。米Johns Hopkins大学のJulie M. Miller氏らは多施設盲検試験を実施し、閉塞の有無、重症度の評価においては、MDCT冠動脈造影(MDCTA)と従来型造影の能力に差はないが、陰性的中率、陽性的中率ではMDCTAが劣ることを示した。結果はNEJM誌2008年11月27日号に報告された。

 現時点では、閉塞性冠疾患診断法のスタンダードは冠動脈血管造影だ。侵襲的でリスクはあるが、狭窄部の位置、長さ、重症度を明らかにし、血行再建術によって利益が得られるハイリスク患者を同定するためには有効だ。

 64列の検出器を有するMDCTAは、従来型冠動脈造影の代替になりうるか。この質問に答えるために、著者らは、64列×0.5mmのMDCTAと従来型造影の精度を比較する国際的な試験「CORE64」を行った。

 7カ国9施設(米国が3施設、ドイツ、日本、ブラジル、カナダ、シンガポール、オランダがそれぞれ1施設。日本からは岩手医大が参加)で、2005年9月から2007年1月まで患者を登録した。

 40歳以上の冠疾患が疑われる症候性の患者で、冠動脈造影が適用されることになった405人を対象に、カルシウムスコア(Agatstonスコア)の測定目的ならびに冠動脈造影目的で、2種類のMDCTを実施。その後、従来型の冠動脈造影を行った。このうち、カルシウムスコアが600以下だった291人(年齢の中央値は59歳、男性が74%)を分析対象とした。

 CT画像の読影は、直径が1.5mm以上でステント留置が行われていない冠動脈領域19カ所について、視覚的に狭窄レベルを判定(狭窄なし、狭窄が1~29%、30~40%、50~60%、70~99%、完全閉塞)、その後30%以上の狭窄がある部位について市販のソフトウエアを用いて定量的に分析する方法で行った。

 従来型血管造影では、定量的冠動脈造影法(QCA)を用いて、直径1.5mm以上の部位について狭窄率などを計測した。

 得られた血管ごとのデータを元に、患者単位のデータも作製した。

 50%以上の狭窄を臨床的に意義のある閉塞とし、その検出精度を、ROC曲線下面積(AUC)を用いて比較した。血行再建術施行となる患者を予測する能力についても検討した。

 対象となった患者の多くが高血圧または高脂血症歴を持ち、現在または過去の喫煙者だった。MDCTAから従来型血管造影までに要した時間の中央値は10時間だった。

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