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NEJM誌から
遺伝子多型は2型糖尿病の発症予測にあまり役立たない
北欧での大規模コホート研究における検討

 2型糖尿病は、環境要因と遺伝的な要因の相互作用により発症すると考えられている。スウェーデンLund大学のValeriya Lyssenko氏らは、大規模コホート研究の参加者を対象に、16遺伝子上に存在する一塩基多型(SNPs)と糖尿病発症の関係を調べた。得られた結果は、従来から知られている臨床要因の発症予測精度は高く、多型情報を加えても精度向上はわずかであることを示した。詳細は、NEJM誌2008年11月20日号に報告された。

 糖尿病の遺伝的な背景は複雑で、関与する遺伝子は多数存在すると考えられる。最近まで、2型糖尿病との間に一貫した関係が示されている遺伝子はTGF7L2、KCNJ11、PPARGの3つだったが、2007年以降、新たな疾病関連遺伝子発見との報告が続いている。著者らはそれらの遺伝的な変異が、単独で、または臨床的危険因子と共同で、2型糖尿病の発症予測に役立つかどうかを調べることにした。

 Malmo Preventive Project(MPP)に参加した1万6061人のスウェーデン人と、Botniaスタディに参加した2770人のフィンランド人、計1万8831人を分析対象とした。2件の試験を合わせた追跡期間の中央値は23.5年で、その間の糖尿病発症は2201人(11.7%)だった。

 MPPコホートでは中央値24.8年の追跡で2063人(12.8%)が発症。ベースラインで空腹時血糖異常または耐糖能異常と判定された人々の糖尿病罹患率は、21.1%と高かった。ベースラインで耐糖能が正常だった人々のうち、12.8%は追跡期間中に空腹時血糖異常になった。

 Botnia研究では、138人(5.0%)が糖尿病を発症。ベースラインで空腹時血糖異常または耐糖能異常と判定されていた人々の罹患率は12.3%と高かった。ベースラインで耐糖能が正常だった人々の15.4%は、追跡期間中に空腹時血糖異常または耐糖能異常となった。

 分析の対象にされた多型は、先に行われた全ゲノム関連解析により2型糖尿病との関係が示されたもので、以下の16個のSNPsのジェノタイピングが行われた。

 10番染色体上のTCF7L2遺伝子のrs7903146、11番染色体上のKCNJ11遺伝子のrs5219、3番染色体上のPPARGのrs1801282、16番染色体上のFTO遺伝子のrs9939609、1番染色体上のNOTCH2遺伝子のrs10923931、4番染色体上のWFS1遺伝子のrs10010131、6番染色体上のCDKAL1遺伝子のrs7754840、3番染色体上のIGF2BP2遺伝子のrs4402960、8番染色体上のSLC30A8遺伝子のrs13266634、7番染色体上のJAZF1遺伝子のrs864745、10番染色体上のHHEX遺伝子のrs1111875、9番染色体上のCDKN2A/CDKN2B遺伝子のRS10811661、10番染色体上のCDC123/CAMK1D遺伝子のrs12779790、12番染色体上のTSPAN8/LGR5遺伝子のrs7961581、2番染色体上のTHADA遺伝子のrs7578597、3番染色体上のADAMTS9遺伝子のrs4607103。

 まず、2型糖尿病罹患の臨床的予測因子を探す多変量回帰分析を行った。糖尿病発症の独立した予測因子であること明らかになったのは、糖尿病家族歴(一親等の家族が糖尿病だとオッズ比1.62、95%信頼区間1.38-1.89)、BMI高値(1SD上昇当たりのオッズ比は1.45、1.37-1.55)、高血圧(拡張期血圧1SD上昇当たりのオッズ比は1.15、1.07-1.22)、トリグリセリド高値(1SD上昇当たりのオッズ比は1.26、1.18-1.35)、アポリポたんぱく質高値(1SD上昇当たりのオッズ比は0.76、0.62-0.92)、肝酵素高値(ASTが1SD上昇当たりオッズ比は0.90、0.83-0.98、ALTが1SD上昇当たりのオッズ比は1.37、1.25-1.50)、現在の喫煙(オッズ比1.43、1.25-1.63)。最強はdisposition index(インスリン分泌の指標、急性インスリン応答(AIR)Xインスリン感受性(Si))で、1SD低下当たりのオッズ比は3.04(2.34-3.96)だった(以上のオッズ比は、MPP研究またはBotnia研究で得られた数値)。

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