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NEJM誌から
肥満による死亡リスク予測、BMIだけでは不十分
腹部肥満も用いると精度が上昇、ただし測定方法は日本と異なる

 肥満死亡リスクの関係を調べた研究の多くは、全身性肥満の指標であるBMIを用いている。独栄養研究所のTobias Pischon氏らは、欧州人を対象とする研究で、腹部肥満の指標である腹囲またはウエスト/ヒップ比BMIと共に用いると、特に低BMI群の死亡リスクの予測精度が向上することを明らかにした。詳細は、NEJM誌2008年11月13日号に報告された。

 これまで、腹部肥満と死亡リスクの関係を評価した質の高い研究は少なかった。また、欧州で行われた研究はほとんどなかった。そこで著者らは、欧州で実施された大規模コホート研究European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)に参加した人々を対象として、死亡リスクと、腹囲、ウエスト/ヒップ比、BMIの関係を調べた。

 EPIC試験は1992~2000年に欧州10カ国で25~70歳の人々を登録した。登録者のうち、今回の分析に必要な情報がそろっていたのは9カ国(デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、英国)の35万9387人だった。

 なお、この研究における腹囲の測定位置は、日本とは異なり、胴の最も細い部分(最小胴囲)または下位肋骨と腸骨稜の間のいずれかとなっていた。ヒップ周囲径は臀部最大径を水平に測定。男女別に、腹囲、ウエスト/ヒップ比の値で対象者を5分位に分類した。

 ベースラインの平均年齢は51.5歳、65.4%が女性だった。

 BMIが高い集団は低い集団に比べ、年齢が高く、喫煙しておらず、教育レベルは低かった。飲酒は男性においてはBMI高値と関係していたが、女性では逆だった。

 年齢と登録施設で調整してピアソンの偏相関係数を求めたところ、BMIと腹囲、BMIとウエスト/ヒップ比の偏相関係数は、男性が0.85と0.55、女性が0.84と0.38(すべてについてp<0.001)となった。BMIとの相関は腹囲よりウエスト/ヒップ比の方が低かったことから、腹部肥満の代替マーカーとしては後者の方が有望と考えられた。

 平均9.7年の追跡で1万4723人が死亡。死因は、5429人が癌、3443人が循環器疾患、637人が呼吸器疾患、2209人がその他、3005人については詳細不明だった。

 BMIと死亡リスクの間には非線形の関係が認められた。死亡リスクが最低となったBMI値は男性が25.3、女性が24.3。これらの値より低値または高値で死亡リスクは上昇し、全体ではJ字型の曲線となった。

 BMIで調整すると、腹囲とウエスト/ヒップ比は死亡リスクの強力な予測因子だった。

 BMIで調整後、腹囲が最低5分位のグループを参照群として最高5分位群の相対リスクを求めたところ、男性が2.05(95%信頼区間1.80-2.33)、女性が1.78(1.56-2.04)となった。ウエスト/ヒップ比が最低5分位群と比較した最高5分位群の相対リスクは男性が1.68(1.53-1.84)、女性が1.51(1.37-1.66)だった。

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