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NEJM誌から
CRPと虚血性血管疾患の発症に因果関係なし
CRPは単なるマーカーに過ぎない可能性

 血液中のC反応性蛋白質(CRP)値の上昇は、虚血性心疾患虚血性脳血管疾患のリスク上昇と関連している。デンマークCopenhagen大学病院のJeppe Zacho氏らは、CRP高値となるCRP遺伝子の多型を有する人々の虚血性血管疾患リスクを調べて、それら多型と虚血性血管リスクの間に有意な関係が見られないことを明らかにした。得られた結果は、CRP値はそうした疾患の発症に関与しているのではなく、リスクを推定するためのマーカーに過ぎないことを示唆した。詳細は、NEJM誌2008年10月30日号に報告された。

 CRPについてはこれまで、虚血性血管疾患のマーカーなのか、この蛋白質自体がそれら疾患の発症に関わるのかは明らかではなかった。にもかかわらず、既にCRPを特異的に低下させる薬剤の開発が進んでいる。CRPを下げることにより虚血性血管疾患を予防しようという戦略は正しいのか。著者らはCRPと虚血性血管疾患の間に因果関係の存在を想定した。

 CRP遺伝子の特定の多型を有する人は、生涯にわたってCRP高値を示すことが知られている。そうした人々を追跡すれば、他の危険因子とは独立してCRP高値が健康に及ぼす影響が明らかになるはずだ。そこで著者らは、CRP高値を示す多型保有者に、虚血性心疾患と虚血性脳血管疾患リスクの上昇が認められるかどうかを調べることにした。

 対象は、デンマーク系白人からなる4つの独立したコホートだ。

 第1のコホートはCopenhagen City Heart Studyに参加した一般人1万276人で、うち1786人が虚血性心疾患、741人が虚血性脳血管疾患の患者だった。

 第2のコホートは、一般人を対象とする横断的研究であるCopenhagen General Population Studyに参加した3万1992人。うち2521人が虚血性心疾患、1483人が虚血性脳血管疾患の患者だった。

 第3のコホートは、Copenhagen Ischemic Heart Disease Studyの参加者のうち、虚血性心疾患と診断された2238人。それらと性別、年齢がマッチする対照者4474人は、Copenhagen General Population Studyの参加者から新たに選んだ。

 第4のコホートは、Copenhagen Carotid Stroke Studyの対象となった612人の虚血性脳血管疾患患者。Copenhagen General Population Studyの参加者から選んだ性別と年齢がマッチする1224人を対照者とした。

 研究は3段階に分けて行われた。

 まず、CRP値が虚血性血管疾患リスクの上昇と関係していることを確認した。高感度CRP検査により、CRPレベルが1mg/L未満のグループと比較した3mg/L超のグループの虚血性心疾患のリスクと虚血性脳血管疾患のリスクをCox比例ハザード分析により求めた。

 年齢、性別、スタチン使用で調整したところ、ハザード比は、虚血性心疾患が2.2(95%信頼区間1.6-2.9)、虚血性脳血管疾患が1.6(1.1-2.5)となった。CRPの遺伝子型も調整に加えると2.2(1.6-2.9)と1.6(1.1-2.5)、完全多変量調整モデルでは1.6(1.2-2.1)と1.3(0.8-2.0)になった。傾向性のp値は、全ての分析において0.001未満だった。

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