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NEJM誌から
最新の1価ポリオワクチンがポリオ根絶に有望
3価ワクチンより抗体誘導率が高く二次感染リスクが低い

 ポリオ根絶の目標とされた2000年を10年近く過ぎても、世界は未だポリオ根絶には至っていない。しかし、残されたハードルの一つを、新たな1価の経口タイプ1ポリオワクチンによって乗り越えられる可能性が示された。

 エジプト保健人口省のNasr El-Sayed氏らは、これまで広く接種されてきた3価経口ポリオワクチンと、1価の新規ワクチンを比較する無作為化試験を行い、抗体誘導率、免疫後のウイルス排出などにおいて、1価ワクチンが優れていることを明らかにした。詳細はNEJM誌2008年10月16日号に報告された。

 1988年にWHOが開催した世界保健総会で、2000年までにポリオを根絶するとの決議が行われた。3価の経口ポリオワクチンの広範な適用により目標に向けた前進はあったが、現在でも根絶には至っていない。

 タイプ2の野生型ポリオウイルスの感染が報告されたのは、1999年10月のインドが最後だ。しかし、2007年前半にはタイプ1ウイルスがアフリカの5カ国で流行し、2008年半ばの時点でも、アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタンでタイプ1とタイプ3のウイルスの流行が見られている。

 根絶に至らない原因の一つは、3価ワクチンの免疫原性が十分でない点にあると考えたWHOは、2004年10月、タイプ1ポリオウイルスに対する免疫原性の高い1価ワクチンを早急に開発するよう製薬会社に求めた。企業は迅速に対応し、それから6カ月以内に新たなワクチンが開発され、承認を得た。

 著者らは、従来型の3価経口ポリオワクチン(サノフィパスツールのZ5285、Sabinタイプ1ウイルス株を最低で106CCID50、Sabinタイプ2ウイルス株を最低で104CCID50、Sabinタイプ3ウイルスを最低で105.6CCID50含有)と、新たに承認を得た1価の経口タイプ1ポリオワクチン(サノフィパスツールのZ5181、Sabinタイプ1ウイルス株を最低で106CCID50含有)の免疫原性を直接比較する無作為価試験をエジプトで行った。

 エジプト国内で、体重2.75kg以上、出生5分後のアプガースコアが9以上の健康な新生児を登録、無作為に1価ワクチンまたは3価ワクチンのいずれかに割り付け、出生直後(中央値60分)に経口投与した。続いて、生後30日目に、全員に1価ワクチンを投与した。

 最初の血液標本として臍帯血を採取し、生後30日と60日に採血を実施。便は、生後30日と、それ以降7日、14日、21日、28日後に採取した。

 530人の新生児を登録、484人が試験を完了し、うち421人が分析対象として条件を満たした。

 ワクチン投与から30日後のタイプ1ウイルスに対する抗体誘導率は、1価ワクチンが55.4%、3価ワクチンが32.1%(p<0.001)。タイプ2ウイルスについては、それぞれ7.8%と62.1%、タイプ3ウイルスについては0.8%と16.8%だった。

 それぞれのウイルスに対して抗体誘導が見られた乳児に限定して比較すると、どのウイルスに対する抗体価も、中央値は両群間で同等で有意差はなかった。

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