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NEJM誌から
厳格な血圧管理をやめると、合併症減少効果もなくなる
糖尿病患者を対象としたUKPDS試験の追跡調査(その1)

 2型糖尿病でかつ高血圧のある患者の血圧管理を厳格に行えば、大血管障害と細小血管障害のリスクが低下する。しかし、介入終了後に血圧の管理が不十分になると、こうした糖尿病合併症に対する臨床利益は消失することが、英国で行われた大規模臨床試験、UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)の追跡調査によって示された。詳細は、英National Institute of Health Research (NIHR) のRury R. Holman氏らが、NEJM誌電子版に2008年9月10日に報告した。

 1977年に患者登録が始まったUKPDSは、14年にわたって25~65歳の新規発症2型糖尿病患者(空腹時血糖値が108mg/dL超)5102人を登録、中央値10.5年(最短で6年、最長で20年)の追跡を行い、心血管疾患などの合併率や危険因子について評価した試験だ。

 著者らは、この試験に参加した患者のうち、1987年に開始された血圧管理に関する無作為化試験Hypertension in Diabetes(HDS)に登録された集団を、試験終了後さらに10年間追跡。試験期間中に行われた血圧管理がもたらした細小血管障害と大血管障害のリスク減少という利益が、どの程度持続するのかを調べた。

 2型糖尿病で高血圧の患者1544人のうち、1148人(平均年齢56.4歳、56%が男性、87%が白人)を、1987年から4年間かけてHDS試験の被験者として登録。組み込み条件は、降圧治療なしで160/90mmHg以上、降圧治療ありで150/85mmHg以上だった。

 患者を、厳格な血圧管理を行う群(758人、うち400人にアンジオテンシン変換酵素〔ACE〕阻害薬のカプトプリル、358人にβ遮断薬のアテノロールを投与)と、やや緩やかな血圧管理を行う群(390人、これら2剤は使用しない)に無作為に割り付け。いずれの群も、必要に応じて利尿薬のフロセミド、カルシウム拮抗薬の徐放型ニフェジピン、α2遮断薬のメチルドパ、α1遮断薬のプラゾシンを決まった用量で追加投与した。

 血圧の目標値は、厳格管理群では150/85mmHg未満、緩やかな管理群では180/105mmHg未満に設定した。

 この介入試験は1997年9月30日に終了。引き続いて、この時点での生存者を、50%が死亡すると予想される10年後まで追跡する試験後モニタリングを開始した。対象は、転居なく生存していた884人(厳格管理群592人、緩やかな管理群292人)。

 試験後モニタリングでは、介入研究で割り付けられた治療は行わず、かかりつけ医の下で治療を受けることになった患者に、当初5年間は年1回、UKPDS参加クリニックを受診するよう依頼した。その度に、血圧、空腹時血糖、HbA1c、血清クレアチニン、アルブミン/クレアチニン比といったデータを収集。受診できない患者には、毎年質問票(生活の質を評価するEQ-5Dと医療資源の利用に関する調査票)を送付し回答を依頼するとともに、主治医にも質問票を送り、可能な限りデータを収集した。

 6年目から10年後までは、資金的な問題から、全員について質問票による調査のみを実施した。最後の質問票送付は2007年9月30日で、追跡完了は、厳格管理群247人、緩やかな管理群125人だった。

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