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NEJM誌から
スタチンとエゼチミブは弁狭窄関連イベントを予防できず
軽症~中等症の大動脈弁狭窄患者を対象としたSEAS試験の結果

 高脂血症大動脈弁狭窄症の危険因子であることがわかっているが、脂質降下薬を投与すれば、果たしてそのリスクは減るのだろうか。ノルウェーAker大学病院のAnne B. Rossebo氏らは、軽症から中等症の大動脈弁狭窄症患者にスタチンエゼチミブを投与する無作為化試験を実施。介入群の大動脈弁狭窄関連イベントの発生率は、偽薬群と比較して差がなく、虚血性心血管イベントは抑制されるが罹患リスクが上昇するという結果を得た。詳細は、NEJM誌2008年9月25日号に報告された。

 大動脈弁狭窄症は75歳以上の高齢者の3~5%に見られる。これまでに、スタチンを用いた脂質降下治療の大動脈弁狭窄リスク低減効果を調べた研究が複数行われたが、一貫した結果は得られていない。

 そこで著者らは、より強力な脂質降下治療を長期にわたって行った場合の影響を調べる二重盲検無作為化試験を実施した。

 欧州7カ国の173施設で、45~85歳の軽~中等症(エコーで測定した大動脈弁を通過する最高血流速度が2.5~4m/秒の患者)の無症候性大動脈弁狭窄患者1873人を登録。冠疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、糖尿病の患者は除いた。

 これらの患者を、シンバスタチン40mg/日+エゼチミブ10mg/日投与群(944人、平均年齢67.7歳、女性は38.5%)または偽薬投与群(929人、67.4歳、女性は38.8%)に割り付け、毎日投与した。

 なお、割り付け開始当初(2001年3月から2002年12月まで)に登録された196人は、シンバスタチン(40~80mg/日)または偽薬に割り付けられていた。その後、プロトコールが変更されたため、この期間に介入群に割り付けられた患者は、その後エゼチミブ+シンバスタチン投与群に組み込まれた。

 担当医には、自らの判断でシンバスタチン(最大40mg/日)を含む脂質降下薬をオープンラベルで投与することを認めた。

 主要アウトカム評価指標は、主要な心血管イベント(心血管死亡、大動脈弁置換術、うっ血性心不全、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、冠動脈バイパス術、経皮的冠インターベンション、非出血性脳卒中)に設定。2次エンドポイントは、大動脈弁狭窄に関連するイベント(大動脈弁置換術、大動脈弁狭窄による鬱血性心不全、心血管死亡)と虚血性心血管イベント(心血管死亡、非致死的心筋梗塞、冠動脈バイパス術、経皮的冠インターベンション、非出血性脳卒中)、大動脈弁狭窄の進行、安全性とした。分析はintention-to-treatで行った。

 追跡期間の中央値は52.2カ月だった。8週時のLDLコレステロール値は、偽薬群では変化なし、介入群ではベースラインから61.3%(53mg/dL)低下していた。追跡期間全体では、偽薬群で3.8%低下、介入群では53.8%低下となった。

 試験終了時の大動脈弁血流速度は、偽薬群で3.71m/秒で、ベースラインに比べ0.62m/秒増加していた。介入群は3.69m/秒、0.61m/秒増加で、両群間に有意差は見られなかった(p=0.83)。

 主要アウトカム評価指標に設定された複合イベントは、介入群の333人(35.3%)、偽薬群の355人(38.2%)に発生。ハザード比は0.96(95%信頼区間0.83-1.12、p=0.59)で有意差はなかった。

 2次エンドポイントの大動脈弁狭窄関連イベントの発生率にも差はなかった(ハザード比0.97、0.83-1.14、p=0.73)。

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