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NEJM誌から
PCI直後のビバリルジンと未分画ヘパリン投与の臨床利益に差なし
大出血リスクはビバリルジン群の方が低い

2008/09/19
大西 淳子=医学ジャーナリスト

 経皮的冠インターベンションPCI)直後の血栓塞栓性合併症リスクを減らす目的で、ビバリルジン未分画ヘパリンの臨床利益を比較する無作為化試験の結果、これら2つの薬剤の効果には差がないこと、しかし出血リスクのみに注目すればビバリルジンが未分画ヘパリンに優る効果を持つことが示唆された。ドイツミュンヘン工科大学のAdnan Kastrati氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年8月14日号に報告された。

 PCI後の血栓塞栓症予防を目的として、様々な抗血栓レジメンの可能性が調べられてきた。ビバリルジンは比較的新しい直接トロンビン阻害薬で、PCI前後の抗血栓療法としても有効と期待されているが、これまでに行われたほとんどの研究が、ヘパリンと糖蛋白IIb/IIIa阻害薬との効果を比較したもので、ビバリルジンと未分画ヘパリンを比較した研究は1件しかなかった。この1件の試験結果は、ビバリルジンの出血性合併症抑制効果を示したが、バルーン血管形成術のみが行われ、クロピドグレルの前投与が行われていないなど、試験設計は既に時代にそぐわないものになっている。

 そこで著者らは、現時点で一般に行われている治療の中でビバリルジンと未分画ヘパリンを比較する、二重盲検の無作為化試験を行った。

 安定狭心症または不安定狭心症で、クロピドグレル投与後にPCIを受ける18歳以上の患者を、2005年9月から2008年1月まで登録した。バイオマーカー(トロポニンTとクレアチンキナーゼMB)の上昇がない患者で、600mgのクロピドグレルをPCI施行の2時間以上前に投与されていた。

 患者を無作為にビバリルジン群と未分画ヘパリン群に割り付け、患部にガイドワイヤが達する前に、ビバリルジン群には0.75mgをボーラス投与し、その後PCI終了までの間は1.75mg/kg/hで静注した。ヘパリン群の患者には140U/kgをボーラス投与し、PCI終了まではプラセボを静注した。アスピリン(325~500mg)は全員に投与した。PCI後は、アスピリン、クロピドグレルと、医師が必要と判断したその他の薬剤が投与された。

 ベアメタルステント、薬剤溶出ステントの選択は医師に任された。ビバルリジン群の88.3%、未分画ヘパリン群の87.1%に薬剤溶出ステントが適用されていた。ベアメタルステントはそれぞれ5.1%と6.1%、バルーン血管形成術の適用は6.6%と6.8%だった。

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