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NEJM誌から
骨粗鬆症治療薬チボロンで脳卒中リスク上昇
骨量増加、乳癌リスク低減の利益はあり

 海外で骨粗鬆症治療薬として用いられているチボロンについて、骨折予防効果に加えて乳癌心血管疾患に対する影響を調べた結果、高齢女性に対するチボロン投与は複数の利益をもたらすものの、脳卒中リスクを2.2倍に高めることが示された。米国California Pacific Medical Center Research InstituteのSteven R. Cummings氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年8月14日号に掲載された。

 チボロンはステロイド誘導体で、体内でエストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲンの作用を示す活性代謝物に変換される。海外の90カ国でホルモン補充療法に、また45カ国で骨粗鬆症治療薬として用いられている。

 チボロンは、骨量減少を予防し、ほてりやのぼせを減らすとともに、性欲を増し、膣の潤滑性の向上にも役立つことが示唆されている一方で、HDL-C値とトリグリセリド値が低下するという報告もある。また、骨折、乳癌、心血管疾患などに対する影響は明らかではなかった。そこで著者らは、高齢女性の脊椎骨折、非脊椎骨折、乳癌、深部静脈血栓症、心血管疾患などに対するチボロンの作用を調べる二重盲検の無作為化試験を行った。

 試験は2001年7月から2003年6月まで、22カ国80施設で、大腿骨頸部または腰椎のTスコアが-2.5以下、または-2.0以下で脊椎骨折のX線所見が認められる60~85歳の女性4538人を登録した。脊椎骨折が2カ所以上、Tスコアが-4.0より低い患者、過去1年間に脊椎骨折の臨床診断を受けた女性は除いた。

 チボロン1.25mg(2267人、平均年齢68.3歳)またはプラセボ(2267人、68.2歳)を1日1回投与し、骨量減少に起因する骨折リスクについては3年後に、癌と心血管疾患への影響は5年後に評価する計画で試験を開始した。

 分析は、割り付けられた薬剤を1回以上使用した患者を対象に実施。中央値34カ月の治療で、処方された薬剤の80%以上の調剤を受けた被験者は91%だった。

 プラセボ群に比べチボロン群では、骨量が増加していた。腰椎では4.8パーセンテージポイント(95%信頼区間4.5-5.2)、大腿骨頸部では3.1パーセンテージポイント(2.7-3.4)。

 骨折リスクの有意な減少も見られた。チボロン群では新規脊椎骨折は70件(1000人-年当たり10.9)、プラセボ群は126件(1000人-年当たり19.6)で、相対ハザード0.55(95%信頼区間0.41-0.74、P<0.001)。非脊椎骨折リスクも減少。治療群122件(1000人-年当たり19.5)、プラセボ群は166件(1000人-年当たり26.3)で、相対ハザードは0.74(0.58-0.93、P=0.01)だった。

 リスク減少は、骨折歴のある患者で大きかった。脊椎骨折については、骨折歴なしの患者の相対ハザードは0.69(0.48-1.00、P=0.05)、骨折歴なしでは0.39(0.24-0.63,P<0.001)。非脊椎骨折でも、骨折歴なし群の相対ハザードは0.86(0.65-1.14、P=0.28)、骨折歴あり群では0.53(0.35-0.81,P=0.004)だった。

 チボロン群では浸潤性の乳癌(相対ハザード0.32、0.13-0.80、P=0.02)と大腸癌(0.31、0.10-0.96、P=0.04)のリスク低減も見られた。それ以外の癌のリスクには差はなかった。心血管疾患、静脈血栓塞栓症のリスクにも差はなかった。

 有害事象による治療中止はチボロン群で多く、膣分泌、膣出血、乳房不快感などが多かった。

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