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NEJM誌から
薬物療法にPCIを追加しても長期的には利益なし
COURAGE試験の結果

 安定冠動脈疾患経皮的冠インターベンションPCI)と至適薬物療法を併用した場合と、至適薬物療法のみの治療を比較したCOURAGE試験で、患者の健康状態に焦点を当てた分析の結果、PCIを追加しても利益の上乗せは小さく、さらに6~24カ月で利益が見られなくなることが明らかになった。米国Christiana Care Health SystemのWilliam S. Weintraub氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年8月14日号に掲載された。

 急性冠症候群ではなく、慢性の冠動脈疾患患者にPCIを適用した場合に主要な心血管イベントが予防できるかどうかは明らかではなかった。PCIの利益を評価するために行われたCOURAGE試験では、主要エンドポイントに設定された全死因死亡または非致死的心筋梗塞の発生率が、追跡期間の中央値4.6年の時点で比較されたが、有意差なしという結果になった(PCI 群と比較した薬物療法群のハザード比は1.05,95%信頼区間0.87-1.27、P=0.62)。

 死亡と心筋梗塞脳卒中を合わせた複合エンドポイントと、急性冠症候群による入院、心筋梗塞についても有意差は認められず、PCIの必要性に疑問が投げ掛けられた(NEJM誌2007年3月27日号)。

 著者らは、安定冠動脈疾患の患者へのPCI適用の目的が、狭心症の発生予防のみならず健康状態の向上にもあることを考慮し、今回は、QOL指標を用いて、より広範な健康状態について評価した。

 無作為化試験の対象となる安定冠動脈疾患患者は、1999~2004年に米国とカナダの50医療機関で登録した。心外膜冠動脈の1カ所以上に70%以上の狭窄があり心筋虚血の客観的エビデンスがある、または、冠動脈の1カ所以上に80%以上の狭窄が認められて、狭心症誘発試験なしに典型的な安定性狭心症と診断された患者2287人を、PCIと至適薬物療法(1149人、平均年齢61.5歳)、または、至適薬物療法のみ(1138人、61.8歳)に無作為に割り付けた。追跡は30カ月以上実施した。

 全員にアスピリンを投与し、PCI群にはガイドラインに従ってクロピドグレルを投与した。薬物療法として、長時間作用型メトプロロールアムロジピン、硝酸イソソルビドをそれぞれ単独または組み合わせて使用(抗虚血療法)し、シンバスタチンリシノプリルまたはロザルタンを投与(2次予防)した。

 狭心症特有の健康状態は、Seattle Angina Questionnaire(19項目からなり、スコアレンジは0~100ポイントで、高いほど健康状態は良好)を利用して、ベースライン、1、3、6、12カ月後、それ以降1年ごとに評価した。全体的な精神身体機能はRAND-36(SF-36と同じ項目について評価するが、採点は異なる)を用いて調べた。

 ベースラインで狭心症が認められなかった(Seattle Angina Questionnaireの狭心症頻度スコアが100など)患者は22%。割り付け後1カ月で両群共に狭心症無し患者の増加が認められ、継続的にその頻度は上昇した。3カ月の時点で、PCI群53%、薬物療法群の42%が狭心症なしと判断された(P<0.001)。その割合は、24カ月まではPCI群で有意に多かったが、36カ月時には差は有意でなくなった。

 患者全体のベースラインのSeattle Angina Questionnaireスコアは、狭心症による身体機能の制限が66±25、狭心症の安定性が54±32、狭心症の頻度は69±26、治療に対する満足度は87±16、QOLが51±25だった。

 3カ月の時点で、薬物療法群に比べPCI群でこれらスコアの上昇は大きく、差は有意だった。身体機能の制限はPCI群76±24、薬物療法群72±23(P=0.0004)、狭心症の安定性は77±28と73±27(P=0.002)、狭心症の頻度は85±22と80±23(P<0.001)、治療満足度は92±12と90±14(P<0.001)、QOLは73±22と68±23(P<0.001)。

 さらに、Wyrwichらの方法に基づいて、臨床的に意義のあるスコア変化が起きていたかどうか調べた。身体機能の制限のスコアが8ポイント以上、狭心症の安定性は25以上、狭心症の頻度は20以上、治療満足度は12、QOLは16以上変化した場合を臨床的に意義のある変化と定義した。

 意義のある改善を示した患者の割合を比較すると、身体機能の制限、狭心症の頻度、QOLにおいては、割り付け後6カ月時まで両群間の差は有意だった。それ以降は、差は有意でなくなった。

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