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NEJM誌から
禁煙法施行後に急性冠症候群による入院が17%減少
減少は非喫煙者で顕著

 英国スコットランドでは、2006年3月末から公共の閉鎖空間での喫煙が全面的に禁止された。この禁煙法施行の前後で、急性冠症候群で入院した患者の数を比較したところ、施行後に17%減少しており、減少は非喫煙者で顕著であることが明らかになった。英国Glasgow大学のJill P. Pell氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年7月31日号に掲載された。

 これまでに行われた8件の後ろ向き研究では、公共の場での喫煙を禁じた法律が成立して以降、急性冠症候群による入院件数が減少したとの報告がある。しかし研究の質は必ずしも高くなく、また、入院が減少したのは、喫煙者なのか、非喫煙者なのか、それとも両方なのかは示されていなかった。

 そこで著者らは、前向き研究を行って、急性冠症候群による入院に禁煙法が与えた影響をより正確に評価することにした。禁煙法施行前の10カ月(2005年6月~2006年3月)と、1年後の同じ期間(2006年6月~2007年3月)に、スコットランドの9病院に急性冠症候群で入院したすべての患者を対象とした。

 これら9カ所の病院は、スコットランド全体の急性冠症候群による入院患者の6割強(禁煙法施行前の63%、施行後は64%)を受け入れていた。

 全体では、急性冠症候群による入院は、法施行前の3235人から2684人へと17%減少(95%信頼区間16-18)していた。施行後はどの月も入院件数が減少していたが、時間経過と共に減少幅は大きくなっていた(カイ2乗検定による傾向性のP=0.02)。

 2007年まで禁煙法がなかったイングランドでは、研究期間と同時期に急性冠症候群による入院は4%減少しており、スコットランドでは、法施行前の10年間の1年当たりの平均減少率は3%(最大は2000年で9%)だったため、17%という数字は禁煙法の影響を受けたものと見なされた。

 入院の減少は、入院せずに死亡した冠症候群の患者の増加に起因するものではなかった。そうした死者は、法施行前が2202人、施行後が2080人で、6%減少していた。

 入院患者のうち同意が得られた患者は、法施行前が2806人(87%)、施行後が2322人(87%)。これらの患者を対象に、質問票を用いた調査と、入院時の採血標本を対象とするコチニン(ニコチンにより体内で作られる化学物質)の濃度測定を行い、喫煙習慣の有無と受動喫煙の有無を評価した。

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