日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
日常診療での高齢者の転倒予防取り組みは有効
転倒による外傷と医療サービス利用が有意に減少

 高齢者転倒予防のための取り組みを、日常診療を担う地域の医療施設の半数以上が導入すると、転倒関連の重症外傷が9%、転倒による医療サービス利用は11%減少することが明らかになった。米国Yale大学のMary E. Tinetti氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年7月17日号に掲載された。

 転倒の発生率は70歳以降に上昇する。起立性低血圧、複数の薬剤の使用や、認知機能、視力、バランス感覚、歩行能力、筋力の低下が転倒リスクを高め、転倒による外傷を深刻なものにする。実際、救急部門を訪れる65歳以上の成人の約10%が、転倒が原因で受診している。転倒をきっかけに機能の低下が生じたり、介護施設に入所する高齢者は少なくない。

 複数の無作為化試験において、転倒予防のための多因子介入の有効性が報告されている。また米国では、医療施設認定合同審査会(JCAHO)とメディケア支払諮問委員会が、転倒予防に留意するよう注意喚起している。しかし日常診療の場では、高齢者に対する転倒予防は十分に行われていないのが実情だ。

 コネチカット州では、1990年から、国立加齢研究所の資金を得たYale大学の研究者たちがこの問題に取り組み、転倒は予防できること、転倒予防策の費用対効果は高いことを示した。これを受け、同州内の複数の医療機関がConnecticut Collaboration for Fall Prevention(CCFP)を結成、協力して日常診療の場と地域社会で適用できる転倒予防プロトコールを作成した。

 この転倒予防策は、病院、在宅介護施設、介護施設、高齢者センター、デイケア施設、救急医療サービス団体、開業医の医院、外来リハビリ施設などで広く利用できる。同州内Hartford地域では、既にこの方法が十分に普及し適用されている。

 著者らは、コネチカット州内の介入地域と非介入地域(通常ケア地域)で、70歳以上の高齢者の転倒による重症外傷の発生率と医療サービス利用頻度を比較する非無作為化試験を実施した。

 介入地域は、地域の医療従事者に日常的な転倒予防策の実施を促す介入を行ってきたHartford地区とその周辺とした。地域内の医療機関の内訳は、プライマリケア医院212件(医療従事者は522人)、外来リハビリ施設133件、在宅ケア施設26件、救急部門を有する急性期病院7件、高齢者センター41件。

 一方、通常ケア地域は、介入地域と社会人口学的状況(70歳以上の高齢者の性別、人種、収入、身体障害を有する人の割合など)が同様で、介入地域と直接隣接しない地域から選択。プライマリケア医院の医療従事者は460人、外来リハビリ施設は146件、在宅ケア施設30件、急性期病院7件、高齢者センター43件が地域内に存在していた。

この記事を読んでいる人におすすめ