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NEJM誌から
心原性肺水腫への非侵襲的換気療法、死亡率は酸素療法と差なし
呼吸困難の改善度は非侵襲的換気療法が有効

 心原性肺水腫患者に、標準的な酸素療法非侵襲的換気療法の有効性を比較する無作為化試験の結果、酸素療法と非侵襲的換気療法の7日目までの死亡率には差はないが、治療開始から1時間後の呼吸困難の改善度は非侵襲的換気療法の方が有意に大きいことが明らかになった。英国Royal Infirmary of EdinburghのAlasdair Gray氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年7月10日号に掲載された。

 心原性肺水腫は、救急部門を訪れる理由としては一般的で、米国では年間100万人がこの病気により入院している。院内死亡率は10~20%と高い。当初の治療に反応しなかった患者はしばしば、挿管と人工呼吸を必要とするが、それらは合併症リスクを高める。

 挿管なしの非侵襲的換気療法(持続的気道内陽圧CPAP、または非侵襲的間欠的陽圧換気NIPPV)は、アウトカムの向上を期待されている。CPAPとNIPPVはいずれもフェースマスクを用いるが、CPAPに比べNIPPVは、酸素化と二酸化炭素排泄の改善が大きく肺水腫患者の呼吸の負荷を大きく減らすと報告されており、これら2通りの治療の間にも優劣がある可能性が考えられる。

 これまでにも、標準治療と非侵襲的換気療法を比較する無作為化試験は行われてきたが、いずれも小規模で、ほとんどが単一施設で行われていた上、エンドポイントもまちまちで、一般化できる確実な結果は得られていなかった。そこで著者らは、生存利益を比較する大規模な無作為化比較試験を設計し、非侵襲的換気により死亡率が低下するかどうか、さらにCPAPとNIPPVのアウトカムに差があるかどうかを調べることにした。

 無作為化比較試験は、オープンラベルで前向きに行われた。英国の26病院の救急部門で、2003年7月から2007年4月までに急性心原性肺水腫と診断された中から、条件を満たした計1069人の患者(平均年齢77.7歳、女性が56.9%)を登録した。これらの患者には、頻脈、頻呼吸、高血圧、アシドーシス、高炭酸ガス血症といった症状が見られた。

 患者を無作為に標準的な酸素療法(367人)、CPAP(346人)、NIPPV(356人)に割り付けた。

 通常の酸素療法は、酸素飽和濃度を約92%に維持。CPAPとNIPPVにはフルフェイスのマスクを使用した。CPAPの設定圧は5cm H2Oで開始、最大15cm H2Oとした。NIPPVについては、吸気圧は8cm H2Oで開始、最大20cm H2O。呼気圧は4cm H2Oで開始、最大は10cm H2Oに設定した。治療はいずれも2時間以上継続した。

 動脈血ガス分析、心拍数、呼吸数、酸素飽和度、血圧などを、治療開始から1時間目と2時間目に測定。呼吸困難の程度は、患者にVAS( Visual Analogue Scale)により、登録時と1時間後の状況をスコアで表現してもらった。

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